法律事務所エソラで解決した交通事故の一部を紹介します。
事故・相談の概要
依頼者は、自転車で住宅街の信号のない交差点を横断していました。交差点を渡り終えようとしたところ、左側から進行してきた普通乗用車と衝突しました。
事故後、相手方の任意保険会社による対応が行われていなかったため、法律事務所エソラにご相談があり、受任しました。
受任後、弁護士から加害者に連絡したところ、その後すぐに保険会社による対応が開始され、治療費についても保険会社から支払われることになりました。
ケガの状況
依頼者は、事故翌日に整形外科を受診し、
- 外傷性頚部症候群
- 腰部捻挫
- 右鎖骨部打撲
- 左手関節捻挫
と診断されました。
処方された薬を服用し、症状がなくなったため、その後の通院はありませんでした。
本事案の争点
保険会社による対応が始まった当初から、相手方からは、
「被害者は転倒していないので、事故によってケガをしたとはいえないのではないか」
という趣旨の主張をしていました。
しかし、自転車事故では、必ずしも地面に転倒しなければケガをしないわけではありません。
自動車と衝突した際に身体が大きく動いたり、転倒しないように踏ん張ったりすることで、首や腰、手首などに負担がかかることも考えられます。
弁護士からその点を主張した結果、治療費については保険会社から支払われることになりました。
訴訟の提起
弁護士から保険会社に対して示談の提案をしました。
しかし、保険会社から回答がなく、その後、相手方の対応は保険会社から弁護士へと変更されました。
相手方弁護士に対しても回答を求めましたが、示談に向けた具体的な回答が得られなかったため、訴訟を提起しました。
訴訟での争点
訴訟では、相手方からドライブレコーダーの映像が証拠として提出されました。映像には、衝突後、依頼者の自転車が進行方向右側へ倒れる様子が映っていました。
一方で、依頼者本人については、自転車とは反対方向によろめくところまでは映っていたものの、その後の動きは画面の外に見切れており、実際に地面に転倒したかどうかまでは確認できませんでした。
相手方は、被害者が警察に対して「転倒していない」と説明していたと主張しました。これに対し、依頼者は、そのような説明はしておらず、実際には転倒したと主張していました。
そのため、依頼者が事故によって転倒したかどうかが、一つの争点となりました。
和解の成立
訴訟提起後、比較的早い段階で、裁判所から和解案が示されました。
裁判所は、その和解案を示すにあたり、普通乗用車と自転車が実際に衝突している以上、仮に被害者が地面に転倒していなかったとしても、転倒しないように身体に不自然な力が加わったと考えられるとの見方を示しました。
その上で、本件事故と被害者に生じた傷害との因果関係を認めることを前提とした和解案が示されました。
最終的に、事故と傷害との因果関係を前提として、相手方が一定額を支払う内容で和解が成立しました。
この事例のポイント
交通事故では、
「転倒していないから、事故によるケガではない」
と相手方から主張されることがあります。
しかし、事故によるケガが認められるかどうかは、単に地面に転倒したかどうかだけで決まるものではありません。
自動車と自転車が衝突すれば、転倒を避けようとして身体をひねったり、踏ん張ったり、ハンドルを強く握ったりすることがあります。その際に身体へ不自然な力が加われば、首や腰、手首などを痛めることは考えられます。
本件でも、被害者が実際に地面に転倒したかどうかについては争いがありました。裁判所は、衝突そのものが存在する以上、仮に転倒していなかったとしても身体に不自然な力が加わったと考えられるとして、事故と傷害との因果関係を認めることを前提とした和解案を示しました。
「転倒していない」「事故が軽かった」といった事情だけで、事故とケガとの関係が当然に否定されるわけではありません。事故の状況、衝突の態様、事故後の身体の動き、診断内容などを踏まえて、具体的に検討する必要があります。
交通事故後、「本当に事故によるケガなのか」と言われている方へ
交通事故後に痛みが生じていても、
「転んでいないから」
「事故が軽かったから」
「車の損傷が大きくないから」
といった理由で、事故とケガとの関係を争われることがあります。
しかし、事故と傷害との因果関係は、これらの事情だけで判断されるものではありません。
相手方や保険会社から事故とケガとの関係を争われている場合には、事故状況や医療記録、ドライブレコーダー映像などを確認した上で、具体的に検討することが重要です。
