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むち打ち


交通事故の傷害はむち打ちが多い

 損保料率算出機構が公表しているデータによると、自動車事故による受傷部位のうち、頚部が31.9%で最多です。次に腰背部が17.2%と続きます。

 これらは、追突事故による頸椎捻挫や腰椎捻挫などの、いわゆる「むち打ち」であると考えられます。つまり、交通事故の傷害で最も多いのは、むち打ちだと考えられます。

 実際、交通事故の相談や受任する案件で一番多いのは、むち打ちです。

むち打ちの後遺障害の等級

 むち打ちの後遺障害の等級として考えられるのは、12級13号と14級9号です。

むち打ちの後遺障害等級

12級13号は、「局部に頑固な神経症状を残すもの」

14級9号は、「局部に神経症状を残すもの」

 とそれぞれ規定されています。

 自賠責保険が準用している労災の基準では、神経症状の12級と14級の違いは、次のように説明されています。

労災の認定基準

12級:通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差し支えがあるもの

14級:通常の労務に服することはできるが、受傷部位にほとんど常時疼痛を残すもの

 もっとも、自賠責保険の後遺障害の認定は、労災保険と完全に一致するわけではありません。

自賠責保険における12級13号

 自賠責保険で、12級13号が認められるには、①受傷当初から一貫して認められる自覚症状と②医学的な整合性の認められる画像所見及び神経学所見に裏付けることが必要です。

 むち打ちの場合の画像所見は、MRI画像です。神経学的所見としては、腱反射・病的反射・筋萎縮などです。

 つまり、自賠責保険で12級13号が認められるには、客観的な医学的所見が必要ということです。実際のむち打ちの事案では、そのような医学的所見がないことがほとんどです。

 たとえば、MRI上何らかの変性が認められることがあります。多くは、外傷性の変性ではなく、加齢性・年齢性の変性です。また、神経学所見で異常があっても、その整合性が認められないこともあります。

自賠責保険における14級9号

 12級13号が認められる客観的な医学的所見がなくても、症状経過・治療状況等を勘案し、14級9号が認められることがあります。

 客観的な医学的所見がないことから、医学的に証明はできないが、説明可能な場合などと言われることもあります。

 自覚症状があっても、後遺障害として認められない(非該当)場合もあります。14級と非該当の差は、次のように言われています。

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以下の「むち打ちの後遺障害が非該当の理由」も参照

むち打ちの後遺障害が非該当の理由(交通事故の後遺障害)

むち打ちで後遺障害が非該当になる場合を自賠責保険の認定理由から探ってみます。

①事故が軽微

 たとえば、バンパーにかすった程度の事故であれば、むち打ちの症状は発生しないと考えれます。事故が軽微な場合は、後遺障害は残らないと認定されてしいます。

②治療経過が不自然

 通常の治療経過と異なる場合は、後遺障害としては、非該当とされてしまいます。たとえば、初診が遅い・治療の中断がある・治療途中で症状が出現したというようなケースです。

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以下の「むち打ちが非該当になる理由-治療経過が不自然-」も参照

むち打ちが非該当になる理由-治療経過が不自然-(交通事故の後遺障害)

むち打ちで後遺障害が非該当になる理由の一つが「治療経過が不自然」なことです。「治療経過」が不自然とはどのような場合なのでしょうか?

③症状が軽微

 後遺障害の定義として、永久残存性、つまり症状がずっと残ると定義されています。したがって、症状が軽微であれば、将来にわたって症状が残ることはないだろうと、考えられます。

 むち打ちで多いのは、動かすと痛い・天気が悪いと痛いといった症状です。疼痛が常時ではなく、時々であれば、非該当になります。

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