自賠責保険がむち打ちを後遺障害として認めない場合、その理由を自賠責保険の非該当の理由から検討します。
自賠責保険の形式的な通知書
交通事故で後遺障害が残ったとして、自賠責保険に請求をすると、後遺障害と認められるかどうかにかかわらず、判断の理由が通知されます。
ところが、主に、むち打ちで、後遺障害と認められない、つまり、非該当の場合、形式的な理由が記載された通知が届きます。一読するだけでは、どこに問題があって非該当と判断されたのか、わかりません。そんな形式的な非該当の文言を少し、解読してみます。すると、形式的な文書ですが、非該当の理由が見えてきます。
非該当の文言
むち打ちで後遺障害が非該当の場合、若干の違いはありますが、おおむね、以下のような理由が記載されています。
①頚椎捻挫後の頚部痛については、②提出の画像上、本件事故による明らかな外傷性の異常所見は認め難く、③提出の診断書および後遺障害診断書においても症状の存在を裏付けとなる客観的な医学的所見は認め難いことに加え、④受傷態様および⑤症状推移・治療状況等を勘案した結果、⑥将来においても回復が困難な障害とは捉え難いことから⑦自賠責保険における後遺障害には該当しないものと判断します。
では、それぞれの文言を解読してみましょう。
①頚椎捻挫後の頚部痛については
頚椎捻挫によって頚部痛が生じたことを認める、つまり、交通事故と受傷との因果関係を認めるという記載です。
②提出の画像上、本件事故による明らかな外傷性の異常所見は認め難く
加齢性の変性は確認できるが、外傷性の変性は認められないという記載です。
③提出の診断書および後遺障害診断書においても症状の存在を裏付けとなる客観的な医学的所見は認め難い
神経学的検査を行ってはいるが、異常な所見はないという記載です。
④受傷態様
後遺障害が残るような重大な事故ではないという記載です。この記載があれば、事故態様から門前払いされたということがわかります。
事故態様から重大な事故の場合は、この文言は記載されません。
⑤症状推移・治療状況等を勘案した
大した治療が行われていない、症状の回復が顕著である、治療の中断がある等が、診断書・レセプトからわかるという記載です。
⑥将来においても回復が困難な障害とは捉え難い
現在は症状があっても、将来的には症状は消失するだろうという記載です。
⑦自賠責保険における後遺障害には該当しない
結論で、非該当ということです。