法律事務所エソラで解決した事例の中から、被害者にも過失のある交通事故で労災保険に請求を行った事例を紹介します。
交通事故の態様
加害車両が左折進行する際に適切な合図をせず、左折進行したところ、原動機付自転車で直進していた被害者と衝突したという自動車と原動機付自転車の交通事故です。
被害者の傷病名
左踵骨骨折、左鎖骨骨折等の傷害を負いました
後遺障害等級
左鎖骨骨折後の重いものを持つと痛い、シートベルトをはずす際、左上肢を使うと痛い、普段違和感があるとの症状について、自賠責保険で14級9号認定、労災保険も左鎖骨骨折後の疼痛について14級と認定
鎖骨の骨折は変形することなく、骨が癒合していたので、後遺障害等級としては、局部の神経症状として14級が認定されました。
当事務所で行った手続き
労災保険へ障害給付請求、自賠責保険へ後遺障害部分の被害者請求、任意保険会社との示談交渉を行い、訴訟外の示談で解決しました。
取得金額
治療関係費、休業損害等の既払金を除く取得金額合計は、約243万円でした。労災保険、自賠責保険、任意保険それぞれの取得額は、以下のとおりです。
取得金額
①労災保険:約55万円
②自賠責保険:75万円
③任意保険:約113万円
交通事故でも労災保険を使う
本件は、被害者にも過失があり、最終的に加害者:被害者=85:15の過失割合で示談が成立しました。そして、被害者は通勤途中に交通事故の被害に遭ったため、通勤災害として労災保険を使用することができました。
このように、被害者に過失がある場合は、必ず、労災保険を使用しましょう。労災保険の保険給付は損害賠償から控除しますが、費目拘束があります。たとえば、治療費に相当する療養(補償)給付は、消極損害及び慰謝料から控除することは認められていません。そのため、労災保険を使用しなかった場合と比べて、最終的な被害者の手取りが多くなります。
被害者に過失がない場合でも、労災保険を使用すると、手取りが多くなります。それは、労災保険には特別支給金が支給されるからです。この特別支給金は、損害賠償から控除されないので、手取りが必ず多くなるのです。
交通事故が業務上災害又は通勤災害で労災保険が使用できる場合は、労災保険を使用しましょう。