法律事務所エソラで解決した交通事故の事例の一例を紹介します。
この解決事例のポイント
自転車で道路を横断中、自動二輪車と衝突し、脳挫傷や遷延性意識障害などの重い傷害を負った交通事故です。
本件には、次のような特徴がありました。
- 被害者側にも5~6割程度の過失が見込まれる事故だった
- 重い後遺障害が残り、自賠責保険で別表第1第1級1号が認定された
- 自賠責保険の重過失減額の仕組みを踏まえ、被害者請求を行い、後遺障害部分について4,000万円の支払いを受けた
交通事故の損害賠償は、被害者側にも過失があると、その割合に応じて損害賠償額が減額されるのが原則です。
しかし、自賠責保険では過失の扱いが異なります。本件では、この違いを踏まえて請求方法を検討したことが、解決のポイントになりました。
交通事故の態様
この事例の交通事故は夜間に発生しました。被害者が自転車で幹線道路を北から南へ横断していたところ、車道を西から東へ走行してきた自動二輪車と衝突しました。
事故状況からすると、被害者側にも相当程度の過失が認められることが予想される事案でした。
被害者の傷病・後遺障害
被害者は、この交通事故によって、
- 脳挫傷
- 遷延性意識障害
- 外傷性くも膜下出血
の重い傷害を負い、高次脳機能障害になりました。
その後、自賠責保険の後遺障害等級について、別表第1第1級1号が認定されました。
別表第1第1級1号は、神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を必要とする場合に認定される自賠責保険で最も高い後遺障害等級です。
損害賠償請求の前に成年後見開始の申立て
被害者は、交通事故による脳挫傷などを原因とする高次脳機能障害により、意思疎通が困難な状態となっていました。そのため、被害者本人が自ら損害賠償請求などの手続きを行うことができませんでした。
そこで当事務所では、交通事故の損害賠償請求に先立って、家庭裁判所に成年後見開始の申立てを行いました。
交通事故による脳挫傷や外傷性くも膜下出血などを原因とする高次脳機能障害により、被害者本人が適切に意思表示をすることができない場合、損害賠償請求の前提として成年後見制度の利用が必要になることがあります。
被害者側の過失が5~6割程度と見込まれた
本件で大きな問題となったのが、被害者側の過失です。事故状況からすると、加害者と被害者の過失割合について、
加害者40:被害者60
または
加害者45:被害者55
程度になることが予想されました。
交通事故の損害賠償では、被害者側にも過失があれば、その過失割合に応じて損害賠償額が減額されます。これを「過失相殺」といいます。
そのため、被害者に重い後遺障害が残り損害額が高額になったとしても、被害者側の過失が大きければ、実際に受け取ることのできる賠償額は大きく減少する可能性があります。
自賠責保険では被害者の過失が70%未満なら過失による減額はない
一方、自賠責保険では、通常の過失相殺とは異なる「重過失減額」という仕組みが採用されています。
被害者側に過失があっても、その過失割合が70%未満であれば、被害者の過失を理由として自賠責保険金が減額されることはありません。
本件では、被害者側の過失は55~60%程度と見込まれていました。
したがって、通常の損害賠償請求では大幅な過失相殺を受ける可能性がある一方、自賠責保険では、被害者側の過失による減額を受けずに保険金の支払いを受けられる可能性がありました。
ここが、本件の請求方法を検討するうえで重要なポイントでした。
自賠責保険への被害者請求のみを選択
そこで当事務所では、被害者側の過失割合、認定された後遺障害等級、損害額などを踏まえ、どのような方法で請求することが被害者にとって有利なのかを検討しました。
その結果、本件では、加害者側との示談交渉や訴訟によって損害賠償を請求するのではなく、加害車両が加入していた自賠責保険へ被害者請求のみを行う選択しました。
自賠責保険では、常時介護を要する別表第1第1級について、後遺障害による損害の支払限度額は4,000万円とされています。
解決結果 自賠責保険金4,000万円を獲得
自賠責保険へ後遺障害部分の被害者請求を行った結果、4,000万円の自賠責保険金の支払いを受けることができました。
本件のように被害者側の過失が大きい交通事故では、単純に「裁判基準で損害額を計算して加害者側に請求すればよい」とは限りません。
被害者側の過失割合が大きければ、過失相殺によって受け取ることのできる賠償額が大幅に減少することがあります。
一方、自賠責保険では、被害者の過失が70%未満であれば過失による減額はありません。
そのため、事故の態様や過失割合によっては、自賠責保険への被害者請求を活用することが被害者にとって有利になる場合があります。
本件では、こうした自賠責保険と民事上の損害賠償における過失の扱いの違いを踏まえて請求方法を選択したことが、解決につながりました。
被害者側の過失が大きい交通事故でも、請求方法を検討することが重要です
「自分にもかなり過失があるから、十分な賠償は受けられないのではないか」
交通事故の被害者やそのご家族の中には、そのように考えている方もいるかもしれません。
しかし、被害者側に過失があるからといって、単純に「損害額から過失割合分を差し引くだけ」で終わるとは限りません。
自賠責保険と民事上の損害賠償では、被害者の過失の扱いが異なります。
特に、後遺障害が残るような重大な交通事故では、事故状況、過失割合、後遺障害等級、損害額などを踏まえ、どのような方法で請求することが被害者にとって適切なのかを検討することが重要です。
法律事務所エソラでは、交通事故の被害者からのご相談をお受けしています。
被害者側にも大きな過失がある交通事故や、重い後遺障害が残った交通事故で、今後の損害賠償請求についてお悩みの場合は、一度ご相談ください。
※交通事故の状況や損害の内容は事案ごとに異なります。本事例と類似する事故であっても、同様の結果になるとは限りません。

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