交通事故と保険の重過失免責

保険の重過失免責について判断した最高裁判決を紹介します。

最高裁昭和57年7月15日判決

 養老生命共済契約の被共済者が,夜間飲酒酩酊のうえ普通乗用車を運転し,制限速度毎時40キロメートルの屈曲した路上を前方注視義務を怠ったまま漫然時速70キロメートル以上の高速度で運転して,路上右寄りに駐車中のレッカー車に衝突して死亡した場合に,重過失免責に該当するかどうかが問題になった事案です。

最高裁の判断

 本件共済契約における災害給付金及び死亡割増特約金給付の免責事由である「重大な過失」とは,損害保険給付についての免責事由を定める旧商法641条及び829条にいう「重大な過失」と同趣旨のものと解すべきである。

 Xは,事故当夜酒を5,6合飲酒してかなり酩酊のうえ普通乗用車の運転を開始し,事故発生時においてさえ血液一ミリリットル中0.98ミリグラムのアルコールを保有しており,同人がアルコールの影響のもとに道路状況を無視し,かつ,制限速度40キロメートルの屈曲した路上を前方注視義務を怠つたまま漫然時速70キロメートル以上の高速度で運転をして,折から路上右寄りに駐車中の本件レッカー車に衝突した,というのであり,当該事情のもとにおいては,Xは極めて悪質重大な法令違背及び無謀操縦の行為によつて自ら事故を招致したものというべきであるから,本件共済契約における免責事由である「重大な過失」に該当するものと解するのが相当である。