眼球の運動障害の後遺障害認定のポイントを紹介します。
眼球の運動障害の後遺障害
眼球の運動障害の後遺障害は、①眼球の運動と②複視の2つがあります。10級から13級の4段階の後遺障害等級が定められています(眼の後遺障害参照)。
眼球の運動
眼球の運動は、各眼3対、つまり6つの外眼筋の作用によって行われます。6つの外眼筋は、一定の緊張を保ち、眼球を正常な位置に保たせています。
眼筋の1つ又は数個が麻痺すると、眼球はその筋の働く反対方向に偏位し、麻痺した筋の働く方向で眼球の運動が制限されます。
後遺障害としては、①両眼球に著しい運動障害を残すものと②1眼の眼球に著しい運動障害を残すものが後遺障害等級認定表に記載されています。
眼球に著しい運動障害を残すとは、眼球の注視野の広さが2分の1以下に減じたものとされています。注視野とは、頭部を固定し、眼球を運動させて直視できる範囲のことです。
両眼に著しい運動障害を残すとは、両眼の注視野の広さが2分の1以下に減じたもののことではありません。単眼視での注視野が左右両眼とも2分の1以下に減じたものをいいます。
複視
複視とは、眼球の向きが同じ方向を向かないために外界の像が左右眼の対応てんでない部位に投影されて二重に像が見える状態です。
①正面視で複視を残すものと②正面視以外で複視を残すものが後遺障害等級認定表に記載されています。
後遺障害としての複視は、以下の要件を満たしている必要があるとされています。
後遺障害としての複視の要件
①本人が複視を自覚している
②眼筋の麻痺等の複視を残す明らかな原因が認められる
③ヘススクリーンテストにより、患側の像が水平方向又は垂直方向の目盛りで5度以上離れた位置にあることが確認される
以上を前提に、正面視で複視を残すとは、ヘススクリーンテストにより正面視で複視が中心の位置にあることが確認されたものをいいます。