交通事故後の治療経過が不自然な場合、むち打ちで後遺障害は認められません。どのような場合に治療経過が不自然と判断されるのでしょうか?
むち打ちで後遺障害が非該当になった
むち打ちの後遺障害の認定に当たって、治療経過が不自然だと非該当になります(むち打ち参照)。では、自賠責保険は、どのような場合に、治療経過が不自然と判断しているのでしょうか?
①初診が遅い
むち打ちは、事故直後ではなく、数時間後に症状が現れると言われています。ということは、事故当日かその翌日には、病院を受診しているのが普通だと考えられます。
事故から初診までが、1週間経過していると、事故との因果関係が認められないと考えていいでしょう。重大な仕事があって、初診が遅れた場合は、医師に説明し、その理由をカルテに記載しておいてもらうことが最低限必要です(因果関係が認められるとは限りません。)。
②治療途中に新たな症状が出現する
たとえば、事故当初の症状として、頚部痛・手のしびれを訴えていたが、事故から2か月して、頭が痛い・肩が痛いと訴え始めるような場合です。
治療の途中で、新たな症状が出現することが、医学的に説明がつかないということが理由です。こういった訴えがあると、詐病か精神的なものという判断がされてしまいます。
ただし、被害者が事故直後から訴えていても医師がカルテに記載してないために、突然、症状が現れたようケースもあるので、悩ましいところです。被害者としては、最低限、すべての症状を医師に訴えておくことが必要です。
③治療の中断がある
事故後3か月間は、継続的に通院していたが、その後、1か月・2か月間、通院せずに、治療を再開するケースがあります。このような場合、途中で通院を止めたので、症状は大したことがないと判断されます。また、再開後の通院について、中断中に別の原因がある可能性が排除できず、因果関係も否定されます。
長期の海外出張に行かなければならないとか、重大な仕事をまかされ、痛みは我慢してでも仕事をしなければならないというような場合は、最低限、医師にその旨を説明し、カルテに記載をしておいてもらう必要があります。もっとも、こういった事情を立証できたとして、自賠責の判断にどの程度、影響を与えるかは定かではありません。
④治療途中で症状が悪化する
前述のとおり、むち打ちは、事故の数時間後に症状が出現すると言われていますが、その時の症状が最も重いはずです。そして、時間の経過とともに症状が軽くなっていき、最終的に残った症状が後遺障害ということになります。
時間の経過とともに、症状が悪化すると、医学的に説明がつかないと判断されてしまいやすくなります。