醜状障害の後遺障害認定のポイントを紹介します。
醜状障害の後遺障害
醜状障害は、残った醜状の程度よって、7級・9級・12級の3段階の後遺障害等級があります(醜状障害参照)。なお、平成23年5月に政令が改正され、男女差が解消されています。
外貌の醜状
後遺障害等級認定の対象となる外貌の醜状は、他人から醜いと思われる程度、つまり、人目につく程度のものである必要があります。
したがって、瘢痕・線状痕や組織陥没があっても、眉毛や頭髪で隠れている場合、後遺障害等級認定の対象になりません。
自賠責保険の後遺障害等級認定は、書面審査で行われますが、醜状障害については、被害者の面談が行われます。
2個以上の瘢痕、線状痕がある場合
2個以上の瘢痕や線状痕が相隣接し、又は相まって一つの瘢痕又は線状痕と同程度以上の醜状を呈する場合は、2個以上の瘢痕、線状痕の面積、長さを合算して後遺障害等級認定を行います。
露出面の醜状障害
上下肢の露出面の醜状障害は、露出面の範囲が労災と異なっています。自賠責保険では、以下のとおりです。
上下肢の露出面の範囲
①上肢の露出面は、肩関節以下から指先まで
②下肢の露出面は、股関節以下から足の背まで
上肢又は下肢の露出面に、手のひら大を相当程度超える瘢痕が残った場合、12級相当と認定されます。相当程度を超えるとは、手のひら大の3倍程度以上とされています。
2個以上の瘢痕、線状痕がある場合の扱いは、外貌の醜状障害と同様です。ただし、少なくとも1つは手のひら大以上の大きさの瘢痕又は線状痕が残っている必要があり、その程度に達していない瘢痕、線状痕が複数存在していても面積を合算することはありません。
日常露出しない部位の醜状障害
外貌及び露出面以外の醜状障害は、後遺障害等級認定表に記載されていません。そのため、相当級によって、後遺障害等級認定されます。
自賠責保険では、日常露出しない部位は、胸部・腹部・背部・臀部を指します。
胸部及び腹部又は背部及び臀部の全面積の4分の1程度以上の範囲に瘢痕を残す場合は、14級相当と認定されます。2分の1以上の範囲に瘢痕を残す場合は、12級相当と認定されます。
醜状障害と他の後遺障害との関係
醜状障害と他の後遺障害との関係については,次のように取扱われています。
顔面神経麻痺
顔面神経麻痺は,神経系統の機能障害ですが,口のゆがみは,単なる醜状として取扱われています。
また,閉瞼不能は,顔面の外見に影響しますが,眼瞼の障害として扱われます。
眼瞼,耳介,鼻の欠損障害
眼瞼,耳介,鼻の欠損障害は,欠損障害の後遺障害等級と醜状障害の後遺障害等級のうち,上位の等級で評価されます。
頭部の陥没
頭蓋骨が手のひら大以上に欠損し,頭部が陥没したことで,脳が圧迫され,神経症状が認められる場合は,醜状障害と神経障害の後遺障害等級のうち,上位の等級で評価します。