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骨盤骨折の後遺障害


交通事故による骨盤骨折の後遺障害を取上げます。

骨盤骨折

 骨盤は体幹を支えるため骨盤輪を形成し、強固な安定性を有しています。骨盤の外傷は、交通事故等の高エネルギー外傷がほとんどです。

 骨盤骨折は、数ある骨折の中でも致死率が最も高い骨折と言われています。骨盤自体に豊富な血行のため骨折部位からの出血に加え、骨盤内臓器の合併、特に動脈損傷・静脈叢損傷により出血性ショックとなることがあります。

骨盤骨折の分類

 骨盤骨折は、骨盤の安定性による分類、骨盤に加わった外力の方向による分類、重症度による分類と様々な観点から分類されます。

 Tile分類は、骨盤の不安定性とその方向性を重視した分類です。安定型と不安定型に大別することができます。不安定型は、骨盤の前方・後方成分両方に骨折・脱臼が生じ、骨盤輪が破綻しているので、骨盤輪の安定を早期に計る必要があります。

①Type A

 回旋、垂直方向ともに安定している。

Type Aの分類

A1:骨盤輪を含まない骨盤骨折、腸骨翼の単独骨折、上・下前腸骨棘、坐骨結節の剥離骨折が含まれます。

A2:骨盤輪の骨折で転移がなく安定しているもの

②Type B

 回旋は不安定、垂直方向は安定しているもの。

Type Bの分類

B1:Open book型損傷、骨盤の前後方向の圧迫力により恥骨結合が離開または恥骨枝が骨折し、片側骨盤が外側へ回旋するような変形を生じるとともに、仙腸関節前方が開くように障害を受ける。片側骨盤は外旋方向に不安定となるが、仙腸関節後方構造は保たれているので、垂直方向に安定である。障害は片側のみ又は両側同時に生じる。

B2:骨盤の側方の圧迫力により、片側骨盤には内側へ回旋するような変形が加わり仙腸関節前方が圧潰されるとともに、同側の恥骨枝に骨折が生じる。仙腸関節後方構造が保たれているので、垂直方向は安定している。

B3:片側骨盤は内側へ回旋する。前方の骨折は主として反対側の恥骨枝に生じるが、両側の4枝に生じることもある。片側骨盤は内旋するとともに上方回旋も加わるので、下肢短縮が生じることがある。仙腸関節後方構造が保たれているので、垂直方向は安定している。

③Type C

 回旋方向,垂直方向ともに不安定

Type Cの分類

C1:前方骨折とともに,後方仙腸構造,仙棘靭帯,仙結節靭帯を含めた広範な骨盤損傷により,回旋不安定性とともに垂直方向の不安定を生じる。

C2:Type C1の損傷が両側に生じたもの

C3:Type C1,C2の骨盤輪損傷に臼蓋骨折を合併したもの

骨盤骨折の治療

 TypeAでは,保存的治療が選択されます。2~3週間は安静必要です。

 TypeBで,徒手整復可能な場合は保存的療法を選択します。その他は,創外固定を用いた整復固定か,プレートを用いた内固定術を行います。骨癒合までは,3か月程度と言われています。

 TypeCは,創外固定又は内固定が選択されます。骨癒合には,3か月程度かかります。

骨盤骨折の後遺障害

 骨盤の変形治癒が高度の場合,脚長差の生じる可能性があります。被害者が女性の場合は,出産に障害が生じることがあります。

変形障害

 裸体となったとき,変形が明らかにわかる程度であれば12級5号が認定されます。

生殖機能の障害

 女性の場合,腟口狭窄を残すもの(陰茎を腟に挿入できないものに限る)は準用9級が想定されます。骨折により狭骨盤又は比較的狭骨盤(産科的真結合線が10.5㎝未満又は入口部横径が11.5㎝未満)は準用11級が想定されます。


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