後遺障害の認定に関して、他覚所見を取り上げます。
他覚所見
他覚所見は、他覚的所見や他覚症状とも呼ばれ、自覚症状に対する用語です。
ちなみに、自覚症状とは、患者自身が感知する症状のことです。つまり、患者の症状についての訴えです。
医学上の他覚所見
医学上、他覚所見とは、診断医が客観的観察によって確認できる身体的異常のことを意味します。視診・打診・聴診・触診といった理学的検査や画像検査・神経学検査によって、確認することのできる所見です。
ただし、医師等の観察者が、明白に認識できた症状や異常のことも他覚所見と呼ぶことがあります。この意味で用いられる場合は、他覚所見と自覚症状とは差がないということもできます。
後遺障害の認定における他覚所見
後遺障害の認定における他覚所見は、自賠責保険は、局部の神経症状の12級について、他覚所見によって医学的に証明されたものと定義しています(むち打ちも参照)。
裁判例では症状を裏付ける客観的な所見と捉えられています。つまり、医学上の他覚所見であっても、医師等の観察者が明白に認識できた症状や異常では足りず、医師の所見が客観的な検査によって裏付けられていることが必要と考えられます。
したがって、後遺障害の認定における他覚所見は、医学上の他覚所見と必ずしも一致しないことに注意する必要があります。