将来の介護費の算定の問題

 将来の介護費の算定に当たって,考慮する要素としては,介護の必要性・程度・内容はもちろん,その他に介護の必要な期間,介護態勢など,介護が長期間にわたり,将来に不確実な要素が多く将来の予測に困難な点が多くあるかといった事情も考慮されることがあります。

 今回は,介護態勢の変更の問題を取り上げます。将来の介護費の概略については,将来の介護費をご参照ください。

近親者介護から職業付添人による介護へ

 介護に当たる近親者が高齢である場合,被害者の平均余命までの間,近親者による介護を期待することはできません。そのような場合,裁判実務では,近親者の就労可能年数の終期である67歳までは近親者による介護で足りるとして,近親者付添の基準額を損害として認定し,その後は,職業付添人による介護の必要性を認め,必要かつ相当な実費を損害額として認定しています。

 現在は,近親者が介護を行っているが,近い将来,職業付添人による介護に変更する予定だとして,将来の介護費を算定し請求する場合があります。近い将来,職業付添人による介護への移行の蓋然性が認められれば,その主張が認められることになります。

 たとえば,近親者が介護のために退職したが,復職の意向があり,復職可能な状態であれば,職業付添人による介護への移行の蓋然性が認められると考えられます。

介護施設から在宅介護へ

 被害者が,病院や福祉施設に入所しているが,将来的に在宅介護を行うとして,将来の介護費を請求する場合があります。この場合は,在宅介護へ移行する蓋然性の有無が問題になります。

 考慮事項としては,①施設退所の時期,②施設の性格,③被害者の状況,④近親者の意向,⑤被害者を受け入れる家庭の状況,⑥在宅介護へ向けた準備状況,⑦在宅介護の可否に関する医師の判断などが挙げられます。

 施設介護については,永続性が存在しないことから,被害者が施設入所中であって,施設介護の永続性を前提に,将来の介護費を請求する場合,将来における施設介護の継続の蓋然性の主張・立証が必要となります。