交通事故の損害賠償の内、将来の介護費を取上げます。
将来の介護費
交通事故の被害者に、介護が必要な後遺障害が残った場合の症状固定後の付添いに要する費用が、将来の介護費です。将来の介護費は、非常に高額になることが多く、交通事故の損害賠償において問題になることの多い損害です。
介護の必要性
後遺障害の内容・程度によって、被害者が日常生活を送る上で必要な動作を自力で行うことができないことがあり、将来にわたって付添人による介護を受ける必要性が認められる場合があります。この場合、将来にわたって支出される蓋然性のある費用が損害と認められます。
したがって、将来の介護費が損害として認められるには、介護の必要性があることが大前提になります。介護の必要性の有無は、以下のような事情を考慮して判断されます。
後遺障害の内容・程度
自賠責保険の後遺障害の等級認定表では、介護が必要な後遺障害は、別表第1に限られます。しかし、裁判実務上は、自賠責よりも広く介護の必要性を認めています。
後遺障害等級3級以下の高次脳機能障害、脊髄損傷、下肢欠損、下肢機能障害に関するものは、将来の介護費が認められる裁判例が多く存在します。
高次脳機能障害の場合は、身体的な介護の必要性はなくても、介護として声掛けや看視が必要なことがあり、その場合も介護の必要性が認められています。
介護の主体
職業付添人による介護が必要なのか?近親者による介護で足りるのか?という問題です。裁判実務では、近親者が就労していて、休日しか近親者が介護に当たれない場合は、平日については職業付添人による介護の必要性を認めるという扱いをしています。
介護の期間
原則、被害者が生きている間は、介護が必要な期間となります。実務上、症状固定時の平均余命年数が介護が必要な期間として扱われています。
大阪地裁の損害賠償額の基準
大阪地裁の将来の介護費の損害賠償基準は,以下のとおりです。