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運行供用者責任に関する最高裁判決③(交通事故の判例)


運行供用者責任に関する最高裁判決を紹介します。

最高裁昭和47年10月5日判決

 陸送中の自動車による事故について、当該自動車の所有者が運行供用者責任を負うか?が争われた事案です。

事案の概要

 A社は、被上告人からの注文による車体の架装を完了した本件自動車を被上告人の東京支店まで陸送することを目的として、B社との間に運送契約を締結し、同会社の被用者において上記目的のため本件自動車を運転中、本件事故を惹起した。

 大型貨物自動車および大型乗合自動車の販売を業とする被上告人は、通常、販売店の注文に応じて、C社川崎工場に注文して製作させた半製品自動車につき、販売店指定の車体架装業者に車体の架装を請け負わせるのであるが、A社は、被上告人のほかD社等からも架装を請け負ていったもので、経済的実質的に被上告人に従属する関係にはなく、本件事故当時においても、架装を完了した本件自動車を被上告人に引き渡すべき義務の履行として、みずから費用を負担し、かねて専属的に運送契約を結んでいたB社をして、これを陸送させていた。

 被上告人は、C社川崎工場から車体架装工場への自動車の陸送を、資本経営上同一系列に属する専属の運送業者であるE社に行なわせるのを通常とし、本件自動車をA社に搬入することも同様にE社に行なわせたのであって、他方、B社に対しては当時は直接の請負関係に立つことはまったくなかったものであり、これを直接に使用し支配しているのは上記のような実質的独立性を有する企業主体であるA社であって、被上告人がB社およびその被用者に対し直接または間接に指揮監督を及ぼす関係にもなかった。

最高裁の判断

 最高裁は,運行供用者責任を否定しました。

 当時の本件自動車の運行はB社ないしA社がこれを支配していたものであり,被上告人はなんらその運行を指示・制禦すべき立場になかったものと認めるべきであって,本件自動車が被上告人の所有に属し,被上告人がその営業として自動車の製作,販売を行なう一過程において本件事故が生じたものであるなど所論の事情を考慮しても,なお,被上告人の運行支配を肯認するに足りないものというべきである。

 したがって,被上告人が本件自動車の運行を支配していたものとは認められないとして,本件事故につき被上告人の運行供用者責任を否定した原審の判断は,正当として是認することができる。


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