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年金の逸失利益性(死亡事故の損害賠償)


交通事故で年金受給者が亡くなった場合、逸失利益の損害賠償はどうなりますか?

死亡による逸失利益

 死亡事故の損害のうち、慰謝料と並んで大きな金額になるのが、死亡による逸失利益です。年金受給者が、交通事故でお亡くなりになった場合、死亡による逸失利益は、どのように算定されるのでしょうか?

 死亡による逸失利益は、次の計算式によって算出します。上記の問題は、年金受給者の基礎収入と生活費控除率の問題と言い換えることができます。

死亡による逸失利益の算定方法

基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数のライプニッツ係数

年金は逸失利益の対象なのか?

 年金が逸失利益の対象になるか?は、年金の種類によって異なります。

年金の種類

 年金は基礎年金である国民年金と、その上乗せとして、老齢・退職年金、障害年金、遺族年金があります。国民年金では、それぞれ、老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金となります。厚生年金では、老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金となります。共済年金も退職共済年金・障害共済年金・遺族共済年金になります。

逸失利益性が認めらるか?の判断

 裁判実務上は、年金給付の目的、拠出された保険料と年金給付との間の対価性、年金給付存続の確実性に基づき判断されます。

老齢・退職年金

 逸失利益性は、認められています。

障害年金

 逸失利益性は認められています。ただし、妻や子の加給分については、逸失利益性は否定されます。

遺族年金

 逸失利益性は否定されています(遺族厚生年金の逸失利益性参照)。

 ①受給権者自身の生活維持を目的とした給付という性格を有すること、②受給権者自身が保険料を拠出しておらず、給付と保険料の対価性が間接的であること、③存在が不確実であること、④社会保障的性格の強い給付であることなどが理由です。

生活費控除率

 生活費控除とは、被害者が死亡した場合、生きていたら必要であった収入を得るための生活費の支出を免れることから、損益相殺的な観点から、逸失利益の算定に当たって、被害者の死亡後の生活費を控除することをいいます。
 
 たとえば、生活費控除率が50%なら、基礎収を半分として逸失利益を計算することになります。

 年金の場合、支給されている趣旨に照らして、通常よりも高く判断されている傾向があります。なお、被害者が年金の他に働いていて、収入を得ていた場合、年金と稼働収入とで、生活費控除率を異なる割合にすることが考えられます。


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