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死亡による逸失利益と将来の物価の上昇(死亡事故の損害賠償)


死亡による逸失利益の算定において、将来の物価の上昇・一般的な賃金の上昇を考慮しないと判断した最高裁判決を紹介します。

最高裁昭和58年2月18日判決

 交差点で左折中の大型貨物自動車に、三輪車に乗った幼児がひかれて死亡した事案です。

 被害者である幼児の逸失利益の算定において、将来の物価上昇と賃金上昇を考慮することができるか?が争われました。

最高裁の判断

 最高裁は次のように述べ、逸失利益の算定において、将来の物価の上昇及び賃金の上昇は考慮しなくても違法ではないと判断しています。

 昭和52年7月26日の交通事故により死亡した幼児(当時満2歳の男児)の将来得べかりし利益の喪失による損害賠償額を算定するにあたり、原審が昭和54年賃金構造基本統計調査報告第一巻第一表中の産業計・企業規模計・学歴計の男子労働者の平均賃金額を基準として収入額を算定し、その後の物価上昇ないし賃金上昇を斟酌しなかったとしても、交通事故により死亡した幼児の得べかりし収入額の算定として不合理なものとはいえない。


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