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死亡事故の損害賠償と香典の損益相殺


死亡事故の損害賠償に関し、香典の損益相殺等を判断した最高裁判決を紹介します。

最高裁昭和43年10月3日判決

 死亡事故の損害賠償に関して、①葬儀費用が損害に当たるか?、②香典の損益相殺などについて判断した最高裁判決です。

最高裁の判断

 各論点についての最高裁の判断は、以下のとおりです。

生活費控除について

 原審は、本件事故によって死亡したXの得べかりし利益の算定根拠として、同女が、事故当時1か月につき、A社B工場に勤務して3,000円、和裁等の内職により3,000円の収入をあげ、5,125円の生活費を要していたこと、および、10年経過後は工場からの収入がなくなることを確定し、事故後10年間は同収入から生活費を控除した1年1万0,500円、その後の10年間はその半額にあたる1年5,250円の純収益を得べかりしものと判断している。

 しかし、事故から10年を経過した後においては、収入は内職による一か月3,000円のみとなるから、生活費がそれ以下に減少しないかぎり、純収益として算定しうべきものの残らないことは、計数上明白なところであり、それにもかかわらず、原審が、生活費の減少すべき点について何ら判示することなく、収入が半減してもなお当然にそれまでの純収益の半額にあたる利益を得べかりしものと判断しているのは、明らかに理由齟齬の違法を犯したものといわなければならない。事故から10年を経過した時以降のXの得べかりし利益は、これを認めえないものとして、被上告人らの請求中右利益の喪失を原因とする部分を排斥すべきであったのである。ただし、同時期においてXの生活費がその収入を上回ることになるとしても、その不足額をそれまでの時期における同女の収益から控除すべき理由はない。後の時期における生活費がそれまでの時期における収入を得るために必要な支出でないことはいうまでもないからである。

葬儀費用・香典の損益相殺について

 被上告人AがXの葬式費用として原判示の支出をしたことは、原判決挙示の証拠に照らし肯認することができる。同費用は、その額その他原審認定の諸般の事情に徴し、社会通念上不相当な支出とは解されない。そして、遺族の負担した葬式費用は、それが特に不相当なものでないかぎり、人の死亡事故によって生じた必要的出費として、加害者側の賠償すべき損害と解するのが相当であり、人が早晩死亡すべきことをもって、賠償を免れる理由とすることはできない。また、会葬者等から贈られる香典等は、損害を補填すべき性質を有するものではないから、これを賠償額から控除すべき理由はない。


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