股関節脱臼骨折

 股関節脱臼骨折は,交通事故や高所からの転落など,大きな外力によって生じる骨折です。骨頭の脱臼方向によって,前方,中心性,後方に分けられます。

前方脱臼骨折

 前方脱臼骨折は,発生頻度の低い骨折です。Epstein分類では,①上方脱臼,②下方脱臼に分類されます。

中心性脱臼骨折

 大腿骨頭を寛骨臼内へ突き上げるような強い外力によって生じます。寛骨臼骨折と大腿骨頭の内方転位を合併します。

Rowe&Lowell分類

 寛骨臼骨折を大腿骨から加えられる力の方向と大きさによる分類です。

Ⅰ転位のない線状の寛骨臼骨折

 A:単一の線状骨折

 B:複数の線状骨折

Ⅱ寛骨臼後部骨折

 A:後部辺縁の小骨折

 B:転位した後部大骨片

Ⅲ内側壁骨折

 A:軽度の骨盤内転位

 B:中程度の骨盤内転位

 C:高度の骨盤内転位

Ⅳ上方骨折・破裂骨折

 A:上方ドームの骨折があるが許容範囲で大腿骨頭との適合性良好

 B:上方ドームの転位した骨折

 C:寛骨臼全体の完全な粉砕

後方骨折

 後方脱臼骨折は,発生頻度の高い骨折で,股関節屈曲位で膝から大腿骨軸方向に外力が働き,骨頭が後方へ押し出される形で生じます。

 骨頭が脱臼する際に骨折を合併する頻度が高く,半数以上に何らかの骨折の合併が見られます。

Thompson&Epstein分類

 TypeⅠ:骨折の合併がない又はあっても小骨折

 TypeⅡ:寛骨臼後縁の単一の大きな骨折を合併

 TypeⅢ:寛骨臼後縁の粉砕骨折を合併

 TypeⅣ:寛骨臼後縁骨折と寛骨臼底骨折を合併

 TypeⅤ:大腿骨頭骨折を合併

股関節脱臼骨折の治療

 大腿骨頭・頸部骨折を伴う場合は,麻酔下で整復後に内固定を実施します。

 寛骨臼骨折を伴う場合は,直達牽引等を用いた整復を行います。整復が不安定であれば,鋼線牽引後に観血的内固定術を行います。

股関節脱臼骨折の後遺障害

 股関節の機能障害が生じる可能性があります。

 可動域角度が健側の2分の1以下に制限されている場合は10級11号が想定されます。可動域角度が健側の4分の3以下に制限されている場合は12級7号が想定されます。