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加重障害に関する裁判例(交通事故の損害賠償)


加重障害の逸失利益・慰謝料の算定に関する裁判例を紹介します。

東京地裁平成14年11月26日判決

 ①加重障害の逸失利益の算定と②後遺障害慰謝料の算定が問題になった事案です(加重障害の逸失利益の算定加重障害の慰謝料参照)。

事案の概要

 平成10年11月12日、原告が本件横断歩道を自転車を運転して横断中、交差道路を走行する被告車両に側面から衝突されて受傷した。原告は、左鎖骨骨折、左肩甲骨骨折、肋骨多発骨折、右第二、三指骨折、左腓骨骨折、頭部打撲の傷害を負った。

 原告は、平成11年6月29日に症状固定し、当時の自動車保険料率算定会から、次のとおり、自動車損害賠償保障法施行令二条別表の後遺障害等級表に該当する後遺障害の認定を受けた。

 (1)左肩関節の機能障害:10級10号

 (2)①右手指の機能障害:8級4号

    ②右手関節の機能障害:8級6号

   ③以上より、右上肢の機能障害として、6級相当

 (3)①左鎖骨の変形:12級5号

   ②肋骨の変形:12級5号

   ③肩甲骨の変形:12級5号

   ④以上より、その他体幹骨の障害として、11級相当

 (4)以上、(1)、(2)、(3)より、現症併合5級

 (5)慢性関節リウマチによる既存障害として、右手関節の機能障害が認められることから、既存8級6号

 (6)以上より、現症併合5級、既存8級6号の加重障害適用

裁判所の判断

 加重障害の逸失利益及び後遺障害慰謝料に関する裁判所の判断は以下のとおりです。

 原告は,本件事故による後遺障害として,自算会から「現症併合5級,既存8級6号の加重障害適用」との認定を受けている。この場合に,労働省労働基準局長通牒の定める労働能力喪失率表を適用すれば,原告は,本件事故前,既に45%の労働能力を喪失していたところ,本件事故後,79%の労働能力を喪失した状態になったから,本件事故により加重された労働能力喪失率はその差である34%ということになる。

 しかし,原告は,本件事故前は,慢性関節リウマチによる右手関節の機能障害があったものの,電車で通勤してドイツ語教師として稼働することができたのに,本件事故の結果,これに加えて,左肩関節の機能障害,右手指の機能障害,左鎖骨・肋骨・肩甲骨等の体幹骨の変形障害が残ったため,階段の昇降等が不自由になり,電車による通勤が困難となって,20数年間勤務していたドイツ語教師の仕事を辞めざるを得なくなったこと等の事情を考慮すると,本件事故を原因とする原告の新たな労働能力喪失の程度は50%と認めるのが相当である。

 原告に対する後遺障害慰謝料としては,本件事故による原告の実質的な労働能力喪失の程度を考慮し,850万円と認めるのが相当である。


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