交通事故による踵骨骨折の後遺障害を取上げます。
踵骨骨折
踵骨は、距骨との間で距骨下関節を構成し、舟状骨・距骨・立方骨との間でショパール関節を構成しています。
踵骨骨折は、高所からの転落によって生じることがほとんどです。踵骨骨折は、荷重面が十分に整復されないと疼痛が残ります。また、踵骨の外側壁膨隆が残存すると靴が履けなくなります。
Sanders分類
踵骨は解剖学的に複雑な構造を有していて、外傷が加わることで単純X線では損傷形態を立体的に把握することが困難です。CT撮影を行うことが有用です。CTによる骨折分類として、Sanders分類があります。後距踵関節の損傷度に着目した分類です。
TypeⅠ
骨折線の数と関係なく骨片転位なし
TypeⅡ
1本の骨折線
TypeⅢ
2本骨折線
TypeⅣ
3本の骨折線、粉砕骨折
踵骨骨折の治療
転位のない骨折は、ギプス固定などの保存的療法を選択します。転位が大きいものや脱臼がみられる場合は、観血的療法を選択します。
踵骨骨折では、荷重面である後距踵関節の整復を行うことが重要になります。踵骨骨折は、骨の癒合は比較的よいのですが、荷重時の疼痛が残りやすく、距踵関節が硬くなることで凸凹道の歩行がしにくくなるといった症状が残る可能性があります。
踵骨骨折の後遺障害
踵骨骨折後の疼痛が後遺障害として残る可能性があります。局部の神経症状として他覚的所見がある場合は12級13号、他覚的所見がない場合は14級9号が想定されます。