交通事故によるTFCC損傷の後遺障害を取上げます。
TFCC損傷
手関節には、橈骨・尺骨・手根骨の3者間の安定を図るために、三角繊維軟骨複合体(TFCC)が存在します。三角繊維軟骨複合体の損傷がTFCC損傷です。受傷機転としては、転倒した際に手関節背屈位を強制される場合に生じることがほとんどです。
TFCC損傷は、捻挫と異なり、手関節の尺側部の疼痛が持続することが多く、骨傷が認められない手関節の疼痛が長期化する場合、TFCC損傷が疑われます。
TFCC損傷では、①手関節背屈位での疼痛の誘発、②手関節尺側強制位での疼痛の誘発、③尺骨茎状突起部の圧痛が見られます。
TFCC損傷は、レントゲンでは判明しません。交通事故から長期間経過してからMRIで判明するということがあります。このような場合、TFCC損傷と交通事故との因果関係を否定されることがあります。
TFCC損傷の治療
まずは、手関節の固定治療が行われます。損傷が軽微な場合は、局所の安静で疼痛や可動域制限が消失することもあります。保存的療法で効果がない場合は、観血的療法が行われます。
TFCC損傷の後遺障害
手関節の疼痛が残った場合、局部の神経症状としての後遺障害が想定されます。
TFCC損傷で想定される後遺障害
画像所見が確認できる場合:局部に頑固な神経症状を残すものとして、12級13号が想定されます。
画像所見が確認できない場合:局部に神経症状を残すものとして、14級9号が想定されます。