その他の体幹骨の障害の後遺障害認定のポイントを紹介します。
その他の体幹骨の障害の後遺障害
後遺障害等級表は、体幹を①脊柱と②その他の体幹骨に区別し、②その他の体幹骨について、変形障害を後遺障害として扱います。その他の体幹骨に著しい変形を残すものが12級5号に認定されます(脊柱・その他の体幹骨の後遺障害参照)。
その他の体幹骨の変形障害の認定
その他の体幹骨とは、①鎖骨、②胸骨、③肋骨、④肩甲骨、⑤骨盤骨のことです。
仙骨及び尾骨は、解剖学上は脊柱の一部で、骨盤骨の一部をなしています。後遺障害等級表の脊柱の障害は、頸部・体幹の支持機能・保持機能と運動機能に着目したもので、これらの機能を有さない仙骨・尾骨は脊柱の障害として扱われません。仙骨はその他の体幹骨に含まれますが、尾骨は含まれておらず、後遺障害として評価されません。
その他の体幹骨の変形障害が後遺障害として評価されるのは、著しい変形を残すものです。著しい変形を残すとは、裸体になったときに、変形や欠損が明らかに分かる程度のものをいいます。そのため、X線写真ではじめて変形がわかるような場合は、後遺障害として評価されません。治療のための採骨による変形も同様です。
鎖骨・肩甲骨の変形
鎖骨と肩甲骨は、正中面で左右に分かれており、それぞれ左右別々の骨として扱われます。
したがって、右側と左側でそれぞれ変形がある場合は、それぞれが1個の障害として扱われます。
肋骨の変形
肋骨は、第1肋骨から第12肋骨まで左右対になって構成されています。後遺障害としては、肋骨全体を一括して一つの後遺障害として扱います。
併合の取扱い
その他の体幹骨の2か所以上に著しい変形を残す場合、異なる部位の複数の障害であっても、同一系列の障害であるので、併合等級を認定しません。この場合、併合繰り上げを行い、後遺障害等級を1級繰り上げて、11級相当とします。
以下の場合には、併合等級を認定します。
(1)脊柱の変形障害又は運動障害とその他の体幹骨の障害がある場合
(2)骨盤骨に高度の変形が生じ、股関節が転位して運動障害が生じた場合
(3)鎖骨に著しい変形を残し、かつ、肩関節に運動障害が残った場合
(4)その他の体幹骨の2か所以上に著しい変形があり、同時に上肢又は下肢の長管骨に変形を残す場合