異時共同不法行為と損害賠償(交通事故の裁判例)

異時共同不法行為に関する裁判例を紹介します。

東京地裁平成21年2月5日判決

 いわゆる純粋異時事故において,共同不法行為の成立を認めた裁判例です。

事案の概要

 平成13年2月7日午前2時40分ころ,横浜市磯子区内でBが運転し,原告が同乗するB車が本件第1事故現場で赤信号のため停止中,亡Y1が運転するY1車に後方から追突された(本件第1事故)。

 平成13年4月20日午前9時55分ころ,東京都世田谷区内で被告Y4補助参加人C社の被用者である参加人Zが運転し,原告が同乗するZ車(タクシー)が,交通整理の行われていない交差点に,一時停止の道路標識が設置されていない道路から進入したところ,被告Y4が運転するY4車が,一時停止の道路標識が設置されていた右方道路から一時停止せず時速約20キロメートルで同交差点に進入し,Z車の前部とY4車の左側前部が衝突した(本件第2事故)。

 本件第1事故について,原告は,自賠責保険の後遺障害等級認定手続において,損保料率機構により,後遺障害等級非該当と判断された。

 本件第2事故について,原告は,自賠責保険の後遺障害等級認定手続において,損保料率機構により,後遺障害等級12級12号に該当すると判断された。

裁判所の判断

 原告は,本件第1事故から2か月余り経過した後に本件第2事故に遭っていること,原告は,本件第2事故の前日まで頚部痛を訴えて整形外科を受診しており,本件第2事故後の平成13年5月9日にMRI撮影を行うことになっていたものの,本件第2事故による受傷により,MRI撮影を行うことができなかったことが認められることから,本件第2事故発生時までに,本件第1事故による頚椎捻挫の症状は固定していなかった。

 本件の各事故による原告の傷害は他覚的所見のない頚椎捻挫であること,警察病院の通院時における治療は,星状神経節ブロックや頚椎牽引,消炎鎮痛剤の処方等,保存的治療に終始していることからすると,本件第2事故後の頚椎捻挫の症状は,遅くとも,症状固定の診断がなされた平成14年7月31日に症状が固定した。

 原告は,本件第1事故による頚椎捻挫の症状固定前に,本件第2事故により,同一部位につき傷害を負ったのであるから,上記症状固定時期に残存する後遺障害は,本件第1事故による傷害と本件第2事故による傷害の双方に基づくものであると解するのが相当である。

 原告は,本件第1事故の受傷が症状固定する前に,本件第1事故の約2か月後に発生した本件第2事故により同一部位を受傷したのであるから,原告に残存する後遺障害は,本件第1事故による傷害と本件第2事故による傷害の双方に基づくものであると解するのが相当であるから,本件第2事故以降の損害については,民法719条1項後段により共同不法行為が成立し,被告Y1らと被告Y4は,本件第2事故の損害につき連帯して責任を負うと解するのが相当である。

 なお,亡Y1と被告Y4の寄与割合については,本件第1事故は追突事故であり,原告は頭部等をぶつけているもののその程度は大したものではないのに対し,本件第2事故は出合い頭による衝突事故であり,原告は顔面を打ち付けて頚椎捻挫だけでなく鼻骨も骨折していることからすると,前者を3割,後者を7割とするのが相当である。