自動車の修理業者が自賠責3条の運行供用者責任を負うかを判断した最高裁判決を紹介します。
最高裁昭和44年9月12日判決
自動車修理業者が、顧客から修理のために預かった自動車を運転中に交通事故を起こした場合、自動車修理業者は、運行供用者責任を負うのか?が問題になりました。
事案の概要
自動車修理業者が修理のために、顧客から預かった自動車を、修理業者の被用者が運転中に交通事故を起こしたという事案です。
最高裁の判断
最高裁は、自動車修理業者は、自賠法3条の運行供用者に当たり、運行供用者責任を負うと判断しました。
自動車修理業者が修理のため自動車を預かった場合には、少なくとも修理や試運転に必要な範囲での運転行為を委ねられ、営業上自己の支配下に置いているものと解すべきであり、かつ、その被用者によって保管中の車が運転された場合には、その運行は、特段の事情の認められないかぎり(被用者の私用のための無断運転行為であることは、原審認定のような事情のもとでは、ここにいう特段の事情にあたらない。)、客観的には、使用者たる修理業者の支配関係に基づき、その者のためにされたものと認めるのが相当であるから、自動車修理業者は、本件事故につき、自動車損害賠償保障法3条にいう自己のために自動車を運行の用に供する者としての損害賠償責任を免れない。