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自動車保険の免責条項に関する最高裁判決(交通事故の判例)


自動車保険の免責条項に関する最高裁判決を紹介します。

最高裁昭和58年2月18日判決

 記名被保険者の承諾を得ずに、被保険自動車を転借した者が運転中に生じた自損事故は、自家用自動車保険契約中の自損事故に関する免責条項にいう「被保険自動車の使用について、正当な権利を有する者の承諾を得ないで被保険自動車を運転しているときに、その本人について生じた傷害」に当たるか?が問題になった事案です。

事案の概要

 Aは、上告人との間で、Aが所有する本件自動車につき、保険期間昭和53年10月20日から昭和54年10月20日まで、自損事故にかかる保険金額を1,000万円とする本件自家用自動車保険契約を締結した。

 本件保険契約には、「保険会社は、被保険者が、被保険自動車の使用について、正当な権利を有する者の承諾を得ないで被保険自動車を運転しているときに、その本人について生じた傷害については、保険金を支払わない。」旨の免責条項がある。

 Aは、Bとともに、大工の棟梁Cの下で働き、昭和54年5月ころは、施主宅に泊り込んで仕事をしていたが、同月8日、BはAから本件自動車を借り受け、これを運転して帰宅した。Bは、帰宅した夜、Dら友人数名を自宅に呼んで雑談中、Dが飲み物を買いに行くためBの了解を得て本件自動車を運転中、路外石垣に激突して死亡するという本件交通事故が発生した。

最高裁の判断

 最高裁は、記名被保険者から借り受けて被保険自動車を運転している借受人には、免責条項は適用されないと判断しました。

 本件免責条項は、被保険者の範囲を保険契約の当事者が保険契約締結当時通常被保険自動車を使用するものと予定し、しかもその者の損害を保険によって填補するのが相当と思料される記名被保険者及びこれに準ずる正当な使用権限者に限定しようという趣旨で定められたものと解すべきであるから上記免責条項にいう「正当な権利を有する者」とは、一般的には賠償保険の記名被保険者に相当する者(記名被保険者・名義被貸与者)をいうものと解するのが相当である。

 したがって、記名被保険者から借り受けて被保険自動車を運転しているときにその借受人について生じた傷害については、保険会社は保険金の支払を免れないが、記名被保険者の承諾を得ないで借受人から転借して被保険自動車を運転しているときにその転借人について生じた傷害については、保険会社は保険金の支払を免れるものというべきである。


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