脊柱の運動障害の後遺障害認定のポイントを紹介します。
脊柱の運動障害の後遺障害
脊柱の運動障害は、①6級の脊柱に著しい運動を残すものと②8級の脊柱に運動障害を残すものの2段階の後遺障害等級が定められています。
詳しくは、以下の「脊柱・その他体幹骨の後遺障害」を参照
脊柱の運動障害の認定
脊柱の運動障害が後遺障害として認定されるには、X線等で脊椎圧迫骨折等の器質的損傷の画像所見が確認されること、脊椎固定術が行われたこと又は項背腰部の軟部組織の明らかな器質的変化が認められることが大前提になります。つまり、運動障害の原因となる他覚的所見が必要です。
したがって、疼痛による運動制限があったとしても、脊柱の運動障害としては認められません。この場合、局部の神経症状として後遺障害が認められる可能性はあります。頚椎捻挫や腰椎捻挫等のむち打ちがその典型です。
①脊柱に著しい運動障害を残すとは、頸部又は胸腰部が強直したものをいいます。強直とは、関節の完全強直又はこれに近い状態を意味します。近い状態とは、脊柱の主要運動のすべてが参考可動域角度の10%程度に制限されるものをいいます。
②脊柱に運動障害を残すとは、頸部又は胸腰部の可動域が参考可動域の2分の1以下に制限されたものをいいます。また、頭蓋・上位頚椎間に著しい異常可動性が生じたものも含まれます。
脊柱の運動は、頸部、胸部、腰部と区別して測定することが困難なので、頸部と胸腰部の2つに区別して測定します。可動域は原則として自動運動による可動域を測定します。
関節の機能障害の認定は、健側と患側の可動域角度を比較します。もっとも、脊柱の場合、比較する対象がありません。そこで、日本整形外科学会及び日本リハビリテーション医学会の関節可動域表示ならびに測定法に準拠した関節可動域の測定要領の参考可動域との比較によって、後遺障害認定を行います