交通事故の被害者は、通常、事故の相手方の保険から賠償を受けます。被害者自身の保険である人身傷害保険は被害者に過失がある場合等で有効な保険です。
人身傷害保険とは?
人身傷害保険は、被害者側の保険です。自動車事故で被保険者が負ったケガによる損害を被保険者の過失にかかわらず、保険金額の範囲内で補償するのが、人身傷害保険です。
人身傷害保険の最大のメリットは、被保険者=被害者の過失分がカバーされることです。たとえば、被害者と加害者の過失割合が2対8の事故の場合、被害者が受取れる賠償金は全体の80%になります。しかし、人身傷害保険では保険金額の範囲内ですが、100%補償されます。
もう一つのポイントは、被害者側の保険なので、請求すれば、早期に支払いを受けられるということです。早期の支払いを可能にあるため、人身傷害保険は、約款に従い、保険会社の基準で算定し、保険金が支払われます。
どのような場合に、人身傷害保険から支払いを受けれるのか?
人身傷害保険から保険金を受取る場合のポイントを簡単にまとめておきます。
保険事故
「急激かつ偶然な外来の事故により身体の傷害を被」ったことが必要です。要するに、自動車又は原動機付自転車の運行に起因する事故に遭ったことが必要です。
歩行中や自転車運転中の事故は除かれます。しかし、自動車運転中だけではなく、自転車運転中や歩行中に自動車と事故に遭ったという場合も含むのが通常です。
被保険者
人身傷害保険の保険金を請求できるのは、記名被保険者はもちろん、配偶者・同居親族・別居している未婚の子が含まれるのが通常です。
他の自動車に搭乗していた場合
契約車両以外の自動車に搭乗中に事故に遭った場合も人身傷害保険が適用される可能性があります。ただし、次のような場合は、対象外となる場合があります。
人身傷害保険の対象外となる場合
(1)契約車両が四輪自動車で、二輪・原付に搭乗中の事故
(2)事業用の自動車に搭乗していた
(3)被保険者の使用者が所有する自動車で事故が起きた
(4)記名被保険者、その家族が所有する自動車又は常時使用する自動車
⑷は、2台、自動車を持っていて、1台だけ人身傷害特約を付保し、付保していないもう一方の自動車に搭乗していた場合です。
損害賠償との調整
被害者に過失がある場合や、加害者側の保険会社との交渉が難航するような場合、人身傷害保険から保険金を受領するのは、有用です。
人身傷害保険から保険金を受領すると、損害賠償請求権との調整が必要になります。この話しは、複雑になるので、別の機会にします(人身傷害保険の代位の範囲参照)。