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交通事故で大腿骨頸部を骨折した場合の後遺障害-股関節の痛み・可動域制限は何級?-


ウサラ

手術をして歩けるようにはなったんだけど、足の付け根が痛くて、前みたいには歩けないんだ。人工骨頭を入れた場合も、後遺障害になるの?

にゃソラ

大腿骨頸部骨折では、股関節の痛みや動かしにくさ、歩行の不安定さ、脚の短縮などが残ることがあるよ。
人工骨頭や人工関節に置き換えた場合は、置換した事実と股関節の可動域によって、8級7号または10級11号が問題になるよ。

 大腿骨頸部骨折は、太ももの骨である大腿骨のうち、股関節に近い「頸部」を骨折するケガです。

 手術やリハビリによって再び歩けるようになっても、股関節の痛みや可動域制限が残り、長い距離を歩けない、階段の上り下りが難しい、しゃがめない等の支障が続くことがあります。

 また、骨折の状態によっては、人工骨頭置換術や人工股関節置換術が行われます。人工骨頭や人工関節を入れた場合は、歩けるようになっていても、それだけで後遺障害に該当しないとは限りません。

 このページでは、大腿骨頸部骨折で残りやすい症状と、症状ごとに想定される後遺障害等級、適切な認定を受けるためのポイントを解説します。

大腿骨頸部骨折で想定される主な後遺障害

①人工骨頭・人工関節を入れた場合

 10級10号、可動域が健側の2分の1以下の場合は8級7号

②股関節の可動域が制限された場合

 可動域制限の程度により8級7号、10級11号又は12級7号

③脚が短くなった場合

 短縮した長さにより8級5号、10級8号又は13級8号

④股関節や骨折部の痛みが残った場合

 他覚所見の有無により2級13号又は14級9号

 股関節は、太ももの骨である大腿骨と骨盤のつなぎ目の関節です。太ももの骨である大腿骨の一番上は、球状の形をしていて、骨頭といいます。骨頭のすぐ下の細くなった部分を頸部といいます。

 大腿骨頸部骨折は、その頸部の骨折です。要するに、太ももの付け根付近の骨折です。

にゃソラ

大腿骨頸部骨折は、股関節のケガといえます。

 大腿骨頸部骨折は、治療しなければ歩行できなくなるため、重症度の高い骨折です。交通事故では、バイクや自転車事故で受傷するケースが多いです。

 大腿骨頸部骨折は、非転移型と転移型に分けられます。

大腿骨頸部骨折と大腿骨転子部骨折の違い

 かつて、大腿骨頸部骨折は、関節包内の頸部内側骨折と関節包外の頸部外側骨折を含んでいました。しかし、この2つの部位は、治療法・予後が異なります。そのため、現在では、区別されています。①頸部内側骨折のことを大腿骨頸部骨折といいます。②頸部外側骨折のことを大腿骨転子部骨折といいます。

 保存的療法で骨癒合が得られるケースは少なく、基本的には手術対応になると言われています。

大腿骨頸部骨折の治療

非転移型:内固定術

転移型:人口骨頭置換術の適応

内固定術

 大腿骨頸部骨折の非転移型は、内固定術により骨癒合が得られるケースが多いとされています。しかしながら、偽関節となり人工骨頭置換術の適応となるケースもあります。また、骨癒合後に、骨頭陥没が発生して、追加手術が必要になるケースもあります。

人工骨頭置換術

 大腿骨頸部骨折の転移型は、損傷した大腿骨頭を人工物に置き換える人工骨頭置換術が行われます。人口股関節全置換術が行われるケースもあります。

 大腿骨頸部骨折は、太ももの付け根付近の骨折です。足の付け根の痛みや歩行障害といった症状が見られます。

股関節や足の付け根の痛み

主な症状

歩行時や立ち上がるときの痛み

長時間歩いた後の痛み

天候や負荷によって強くなる痛み

股関節の可動域制限

主な症状

股関節を曲げにくい

脚を外側に開きにくい

脚を内側や外側にひねりにくい

歩行障害

主な症状

長い距離を歩けない

階段の上り下りが難しい

杖が必要になった

片脚をかばうような歩き方になった

脚の短縮

主な症状

骨折部が短縮した状態で癒合

左右の脚の長さに差が生じ、歩行や立位に影響

 大腿骨頸部骨折の後遺障害としては、関節の機能障害と短縮障害が想定されます。

後遺障害の内容後遺障害等級
人工骨頭・人工関節置換8級7号又は10級11号
股関節の可動域制限8級7号、10級11号又は12級7号
脚の短縮8級5号、10級8号又は13級8号
股関節の痛み・しびれ12級13号又は14級9号

人工骨頭・人工関節を入れた場合

大腿骨頸部骨折に対し人口骨頭、人口関節が施行された場合に想定される後遺障害

置換後に可動域が健側の2分の1以下に制限される→関節の用廃:8級7号

可動域が2分の1以下に制限されない→関節の機能に著しい障害:10級11号

 人工骨頭または人工関節を入れた場合は、基本的に10級11号が想定されます。可動域が健側の2分の1以下に制限される場合は8級7号の可能性があります。

股関節の可動域制限

頸部骨折で内固定術が行われ、股関節の可動域制限が制限された場合に想定される後遺障害

股関節がほぼ動かない→関節の用廃:8級7号

健側の2分の1以下に制限→関節の機能に著しい障害:10級11号

健側の4分の3以下に制限→関節の機能に障害:12級7号

 人工骨頭または人工関節を入れずに、股関節に可動域制限が残った場合は、可動域制限の程度に応じて後遺障害等級が決まります。

 股関節がほぼ動かず、健側の可動域角度の10%程度以下に制限されている場合は8級7号が想定されます。

短縮障害

 頸部が短縮して骨癒合した場合の後遺障害として、短縮障害が想定されます。

5センチ以上短縮8級5号
3センチ以上短縮10級8号
1センチ以上短縮13級8号

 下肢の短縮の有無は、上前腸骨棘と下腿内果下端間の長さを健側の下肢と比較することによって行います。

股関節や骨折部の痛み

 股関節や骨折部に痛み・しびれが残っている場合は、局部の神経症状として、12級13号又は14級9号が想定されます。

 12級と14級の違いは、画像所見の有無です。

画像検査で骨癒合や骨頭の状態を確認する

 大腿骨頸部骨折に限らず、後遺障害の認定に際しては他覚所見、つまり客観的な医学上の証拠の有無が重要になります。

 レントゲン、CT、MRIなどで変形癒合、骨頭壊死、人工骨頭の状態などを確認し、症状と画像所見の対応関係を整理することが大事です。

股関節の可動域を正確に測定する

 股関節に可動域制限が残った場合は、可動域角度を正確に測定して後遺障害診断書に記載してもらうことが重要です。

脚の長さを正確に測定する

 短縮障害が残った場合は、健側・患側ともに正確に長さを測定して後遺障害診断書に記載してもらうことが重要です。

痛みや日常生活への支障をきちんと伝える

 後遺障害診断書に記載されていない症状は、後遺障害認定の審査に当たって考慮されません。痛みやしびれ、日常生活、仕事への支障などを主治医に伝えて、後遺障害診断書に記載してもらうようにしましょう。

 大腿骨頸部骨折では、手術やリハビリによって歩けるようになった後も、股関節の痛みや可動域制限、歩行障害、脚の短縮などが残ることがあります。

 特に、人工骨頭または人工関節に置き換えた場合は、股関節の可動域が健側の2分の1以下に制限されていれば8級7号、それを超える場合でも原則として10級11号が認定される可能性があります。

 人工骨頭・人工関節を入れていない場合も、股関節の可動域制限の程度によって10級11号または12級7号、脚の短縮によって8級5号・10級8号・13級8号が認定される可能性があります。可動域制限が基準に達していなくても、股関節や骨折部の痛みについて12級13号又は14級9号が認定されることもあります。

 大腿骨頸部骨折後の症状が残っている場合や、保険会社から示談を勧められているものの後遺障害申請をしていない場合は、示談をする前に、交通事故に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

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