肩鎖関節脱臼

 肩鎖関節脱臼は,直接肩から落下したときの直達外力,手や肘をついて転倒したときの介達外力によって生じます。交通事故ではバイクの転倒によって生じることが多く見られます。

肩鎖関節脱臼の特徴

 肩鎖関節脱臼の分類に,Rockwood分類があります。肩鎖関節脱臼をTypeⅠ~Ⅵに分類します。

 TypeⅠ:肩鎖関節の捻挫

 TypeⅡ:亜脱臼,肩鎖靭帯断裂・烏口鎖骨靭帯の不全断裂

 TypeⅢ:完全脱臼,肩鎖靭帯,烏口鎖骨靭帯とも断裂

      烏口突起と鎖骨間距離が健側より25~100%開大している

 TypeⅣ:肩鎖靭帯,烏口鎖骨靭帯ともに断裂する完全脱臼で鎖骨遠位端が後方の僧帽筋内に転移している

 TypeⅤ:TypeⅢより大きな外力が加わり,三角筋,僧帽筋の付着部まで剥離し転移が大きくなったもの

      烏口突起と鎖骨間距離が健側より100%~300%開大している

 TypeⅥ:肩鎖靭帯,烏口鎖骨靭帯ともに完全断裂する完全脱臼,鎖骨遠位端が下方の烏口突起下に転移するもの

肩鎖関節脱臼の治療

 TypeⅠ・Ⅱでは保存療法を行います。TypeⅣ~Ⅵは手術療法を行うことが多いとされています。

 TypeⅢは保存療法で良好な成績が報告されるようになってきており,保存療法か手術療法か一定の見解には至っていない状態です。

肩鎖関節脱臼の後遺障害

 肩鎖関節部で鎖骨が上方転移したままの状態が外見上明らかな場合は,変形障害として12級5号が認定されます。

 肩鎖関節脱臼のTypeによっては,広範な軟部組織の損傷を伴う場合があります。そのような場合は,肩関節の可動域が制限されることがあります。

 肩関節の可動域制限がある場合,健側の2分の1以下に制限されていると10級10号が,健側の4分の3以下に制限されていると12級6号が認定される可能性があります。

 なお,可動域の制限があるだけでは,後遺障害として認定されません。可動域制限の原因となった器質的損傷が画像によって明らかにされていることが必須です。軟部組織の損傷はレントゲンでは判明しませんので,MRIによって,損傷を明らかにしておく必要があるでしょう。