交通事故による寛骨臼骨折の後遺障害を取上げます。
寛骨臼骨折
寛骨臼骨折は股関節の関節内の骨折です。機能的に、予後に関して重大な問題を含んだ骨折です。大腿骨頭が寛骨臼に与える直達外力によって、発生します。
Judet&Letournel分類
寛骨臼骨折を5つの基本骨折と基本骨折が2つ以上組合さった5つの複合骨折に分類しています。
基本骨折の分類
以下の5つに分類されます。
基本骨折の分類
①後壁骨折
②後柱骨折
③前壁骨折
④前柱骨折
⑤横骨折
複合骨折
以下の5つに分類されます。
複合骨折の分類
①T字骨折
②後柱骨折+後壁骨折
③横骨折+後壁骨折
④前柱又は前壁骨折+後方部分の横骨折
⑤両柱骨折
寛骨臼骨折の治療
直達牽引等の整復を行います。整復が満足いく場合は、そのまま牽引を継続し骨癒合を待ちます。整復が不安定な場合は、鋼線牽引後に観血的内固定術が行われます。
観血的にも整復内固定が不充分で間接面に不整のあるもの、軟骨の損傷が著しい場合、変形性股関節症になることが確実で、股関節固定術、人工関節弛緩術が必要になります。
保存的療法・内固定が成功した場合は、治癒まで約1年と言われています。
寛骨臼骨折の後遺障害
裸体となったとき、変形が明らかにわかる程度であれば12級5号が想定されます。
人工骨頭置換術や人工関節置換術後に、可動域が健側の2分の1以下に制限されていれば8級7号、2分の1以下に制限されていない場合は10級11号がそれぞれ想定されます。