交通事故で子どもが亡くなった場合、死亡逸失利益はどのように算出されますか?
交通事故の被害者が幼児・生徒・学生の場合の逸失利益
被害者が幼児・生徒・学生の場合、交通事故による死亡時には、就労していないため、現実の収入はありません。実務上は、特段の事情がない限り、しかるべき時期に就労して、収入を得ることができたと仮定して、逸失利益を算定します。
基礎収入の算定
逸失利益の算定に当たり、基礎収入は原則として、死亡時の賃金センサスの学歴計・全年齢平均賃金として算定します。被害者が大学生の場合や、大学に進学する蓋然性のある場合は、賃金センサスの大学卒・全年齢平均賃金を基礎収入として算定します。
被害者が年少女子の場合、原則として、賃金センサスの全労働者の学歴計・全年齢平均賃金を基礎収入として、逸失利益を算定します。
病気などが原因で、被害者が生涯にわたり平均賃金程度の収入が得られる蓋然性が認められない特段の事情が存在する場合は、賃金センサスの年齢別や学歴別の平均賃金を基礎収入とすることもありえます。
就労の始期はいつ?
就労の始期は、18歳を原則とします。被害者が大学生や大学に進学する蓋然性がある場合は就学終了時を始期とします(労働能力喪失期間も参照)。
逸失利益の算定方法
被害者が幼児・生徒・学生の場合の逸失利益の算定方法は、他の被害者の場合と少し異なり、次の計算式で算定します。
年少女子の生活費控除率
被害者が女性の場合の生活費控除率は30~40%とするのが、大阪地裁の基準です。年少女子の逸失利益の算定に当たって、基礎収入を賃金センサスの全労働者の平均賃金とした場合、生活費控除率は45%程度として逸失利益を算定します。
これは、男性の生活費控除率が50%なので、年少女子の生活費控除率を40%以下にすると、男性と比較して逸失利益の金額が上回ってしまうためです。そこで、生活費控除率によって調整を図っているのです。