別表第1の2級の後遺障害と後遺障害の併合を取り上げます。
別表第1の後遺障害
自賠責保険の後遺障害等級表は、別表第1と別表第2に分かれています。別表第1の後遺障害は、介護を必要とする後遺障害です。自賠責保険では、介護を必要とする後遺障害について、保険金の上限を高くするために特別の取扱いをしています。
別表第1の2級の後遺障害と後遺障害の併合
13級以上の後遺障害が複数存在する場合に後遺障害等級の併合が行われます。では、別表第1の2級の後遺障害と別表第2の13級以上の後遺障害が存在する場合も後遺障害等級の併合は行われるのでしょうか?
結論からいうと、後遺障害等級の併合は行われず、後遺障害等級は、別表第1の2級となります。その理由は以下のとおりです。
仮に、後遺障害等級を繰り上げる場合、2級から繰り上げると1級にするしかありません。
別表第1の1級は「常時介護が必要」な後遺障害で、別表第1の2級は「随時介護が必要」な後遺障害です。別表第1の2級の後遺障害と別表第2の13級の後遺障害が併存したとして、はたして常時介護が必要な状態になるのか?という疑問があります。
かといって、別表第2の1級にすると、別表第1の2級によりも自賠責保険の保険金が少なくなってしまい、被害者に不利な扱いになります。
このように、別表第1の2級の後遺障害等級を繰り上げることができないため、後遺障害等級の併合は行われないのです。
損害賠償は併合1級として扱うべき
後遺障害等級の併合が行われないのは、あくまでも自賠責保険の取扱上の問題です。
損害賠償については、後遺障害による慰謝料は、別表第1の後遺障害と別表第2の後遺障害で区別されていません。大阪地裁の基準では1級が2,800万円、2級が2,400万円と400万円の差があります(慰謝料(精神的損害)参照)。
別表第1の2級と別表第2の13級以上の後遺障害が併存する場合は、併合1級として後遺障害による慰謝料を算定するべきでしょう。