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前十字靭帯損傷の後遺障害-膝崩れ・不安定感は何級になる?-


 交通事故で膝を強くひねったり、衝撃を受けたりした後に、前十字靭帯(ACL)損傷と診断されることがあります。

 前十字靭帯は、膝関節の安定性に関わる重要な靭帯です。損傷すると、治療を続けても、膝がガクッと抜ける感じ、階段や歩行時の不安定感、膝の痛み、可動域制限などが残ることがあります。

 前十字靭帯損傷で問題になりやすい後遺障害は、膝関節の動揺関節です。症状の程度によって、準用8級・10級・12級が認定されることがあります。

 この記事では、交通事故による前十字靭帯損傷で残りやすい症状、後遺障害等級、認定のポイントについて解説します。

 ACLは、前内側線維束・後外側線維束の2つの線維束から構成される靭帯です。大腿骨顆間窩外側後方から脛骨高原前内側に付着します。脛骨前方安定性・下腿内旋・過伸展を制御しています。

 ACL損傷には、①スポーツで外力が加わった接触型損傷と②急激なジャンプ・着地、急な方向転換で膝関節をねじる非接触型があります。

交通事故で前十字靭帯損傷が起こる原因

 交通事故の場合は、自動車等と衝突し膝関節に大きな衝撃が加わったことで、ACLを損傷することがあります。また、バイク運転時に膝を伸ばして踏ん張っている状態で、膝を捻ることでACLを損傷することがあります。

 ACL損傷の受傷時に、「膝が内に入った」、「ブチッと音がした」、「ガクッと崩れた」との訴えが見られます。以下のような症状が見られます。

ACL損傷の主な症状

膝がガクッと抜ける・膝崩れ

歩行時や階段での不安定感

膝の痛み・違和感

可動域制限や運動時の支障

 Lachmanテストで陽性の場合、ACL損傷が疑われます。Lachmanテストは、約20度屈曲位における前方引き出しテストのことです。

 ACL損傷は、レントゲンでは映りません。MRI画像では、ACL自体の断裂を描出できます。MRI検査は、半月板や軟骨損傷の合併損傷の評価にも有用です。

 膝の不安定感を自覚しておらず、跳躍や急な方向転換が必要なスポーツに復帰する希望がなければ、保存的療法が、選択されることがあります。

 保存的療法が選択された場合でも、靭帯損傷は自然治癒力に乏しく、半月板や軟骨の二次的損傷が生じたり、不安定性が増せば、手術の可能性があります。

 スポーツへの復帰の希望や日常生活レベルで不安感があれば、靭帯再建手術が行われます。

 靭帯再建手術を行うのは、正常な可動域獲得後(受傷後1か月前後以降)です。それまでは、鎮痛投薬治療を行い、歩行・可動域訓練を積極的に行います。手術後は、危険肢位の回避運動を含む運動療法を行います。

 ACL損傷のみの場合、適切な手術・リハビリを行えば特に後遺障害が残ることはないと考えられます。しかしながら、保存療法のみを行った場合は、膝関節に、動揺間接が残ることがあります。

ACL損傷の後遺障害

常時硬性補装具の装着を必要とする程度のもの:準用8級が想定されます。

時々硬性補装具の装着を必要とする程度のもの:準用10級が想定されます。

重激な労働等の際以外は硬性補装具の装着を必要としないもの:準用12級が想定されます。

ストレスXPなどの画像所見

 動揺間接が後遺障害として等級認定されるには、ストレスXPを撮影が必要です。

にゃソラ

動揺関節の詳細は、以下の記事参照

動揺関節(交通事故の後遺障害)

交通事故による動揺関節の後遺障害認定基準を解説します。

交通事故との前十字靭帯損傷との因果関係

 交通事故の事故態様からACL損傷と交通事故との因果関係が問題になることがあります。初診時の症状も因果関係の判断に重要となります。

 前十字靭帯損傷は、治療後も膝の不安定感や膝崩れが残ることがあります。日常生活では何とか歩けていても、階段、坂道、長時間の歩行、仕事中の動作などで不安を感じることもあります。

 前十字靭帯損傷で後遺障害が問題になる場合、中心になるのは膝関節の動揺関節です。硬性補装具の必要性や膝関節の不安定性の程度によって、準用8級・10級・12級が検討されます。

 もっとも、膝の不安定感を訴えるだけでは、後遺障害として認定されるとは限りません。ストレスXPなどの検査で動揺性を確認できるか、MRIで前十字靭帯損傷が確認できるか、事故後の治療経過と症状が整合しているかが重要です。

 交通事故後に前十字靭帯損傷と診断され、膝の不安定感や痛みが残っている場合は、症状固定前から後遺障害申請を見据えて準備しておくことが大切です。


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