交通事故における頭痛の後遺障害に関し、労災保険の後遺障害認定基準を取上げます。
頭痛
頭痛は日常的に発生するものですが、その原因、種類は様々です。国際頭痛分類を踏まえて、労災保険では頭痛を、次のように分類されています。
機能性頭痛
片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛・慢性発作性片頭痛、その他の非器質性頭痛
症候性頭痛
頭部外傷による頭痛、血管障害による頭痛、非血管性頭蓋内疾患に伴う頭痛、薬物・離脱による頭痛、頭部以外の感染症による頭痛、代謝性疾患に伴う頭痛、頭蓋骨・頸・眼・鼻・副鼻腔・歯・口・他の頭部・頭蓋組織に起因する頭痛、頭部神経痛・神経幹痛・除神経後痛
その他
分類不能な頭痛
頭痛の後遺障害
労災保険は、頭痛の型にかかわらず、疼痛による労働又は日常生活上の支障の程度を疼痛の部位・性状・強度・頻度・持続時間及び日内変動並びに疼痛の原因となる他覚的所見により把握し、後遺障害等級認定を行うとされています。
後遺障害等級9級
通常の労務に服することはできるが、激しい頭痛により、時には労働に従事することができなくなる場合があるため、就労可能な職種の範囲が相当程度に制限されるものは、後遺障害等級9級に該当します。
後遺障害等級12級
通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の強い頭痛がおこるものは、後遺障害等級12級に該当します。
後遺障害等級14級
通常の労務に服することはできるが、頭痛が頻回に発現しやすくなったものは、後遺障害等級14級に該当します。
自賠責での頭痛の後遺障害
自賠責においても、労災と同様、頭痛の後遺障害は、神経症状として9級・12級・14級が想定されます。
単に頭痛によって、仕事ができないという程度では、後遺障害として認定されず、頭痛による障害を裏付ける他覚的所見が必要ではないかと指摘されています。
特に、後遺障害等級9級は、局部の神経症状ではないので、脳やせき髄等の中枢神経の異常が必要とされます。