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むち打ちの神経学的検査(交通事故の後遺障害)


交通事故でむち打ちの傷害を負った際に実施されることの多い神経学的検査について取上げます。

神経学的検査

 むち打ちの場合、X線・CT・MRIといった画像検査以外に、神経学的検査が行われることがあります。主な神経学的検査としては、次のものがあります。

ジャクソンテスト

 頭部を背屈させ、両手で頭部を軽く下へ押さえるという検査です。椎間孔が狭まると、神経根症状が誘発され、患側の上肢に疼痛が出現すると陽性とされます。

スパーリングテスト

 患側に頭と首を傾け、やや後屈位で頭頂部から軽い圧迫を加えて、肩、上肢への放散痛の有無を調べる検査です。椎間孔が狭まると、神経根症状が誘発されるか、疼痛が増加します。

SLRテスト

 仰向けで、膝関節を伸展させたまま、下肢を挙げていきます。ある角度で臀部から下肢後面に疼痛が現れ、下肢を挙げることができなくなります。その角度が70度以下は陽性とされます。

ラセーグテスト

 SLRテストと同様の検査です。仰向けで股関節と膝関節を90度に屈曲させ、下肢を挙げていきます。股関節と膝関節が関与するので、解釈が困難で正確性に問題があるとの指摘があります。

反射

 反射を調べることで、脊髄の障害なのか、末梢神経の障害なのかを鑑別することができます。また、脊髄の場合は、どの高位に障害があるのかを鑑別できます。

 反射の異常は、亢進、減弱、消失の3つがあります。診断書には、以下のように記載されます。

反射の診断書上の記載

消失:-又は0

低下:±

正常:+

やや亢進:++

亢進:+++

著名亢進:++++

腱反射

 筋の腱部をハンマーで軽くたたきます。亢進は、反射中枢より上位の運動ニューロン(中枢神経)の障害を意味します。減弱と消失は下位の運動ニューロン(末梢神経)を含む反射弓の障害を意味します。

腱反射反射中枢髄節高位
上腕二頭筋腱反射C5~6
腕橈骨筋腱反射C5~6
上腕三頭筋腱反射C6、C7~8
腕筋反射C5~T1
回内筋反射(頭骨回内筋反射、尺骨反射)C6~T1
膝蓋腱反射L2~4
下肢内転筋反射L3、4
膝屈筋反射L4~S2
アキレス腱反射L5、S1、S2

病的反射

 病的反射が見られると、末梢神経ではなく、中枢神経の障害が疑われます。

 上肢では、ホフマン反射、トレムナー反射、ワルテンベルク反射などがあります。下肢では、バビンスキー反射などがあります。

徒手筋力検査

 重力や徒手的抵抗に関する運動の効果的な効率を基礎とした個々の筋力の強さと機能の評価のための検査です。抹消神経障害では,筋力低下に加えて,筋委縮が見られます。検査の結果は5から0の6段階で表記されます。


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