運行供用者責任に関する問題として,①運行供用者とは?,②運行起因性とは?,③他人とは?という問題があります。今回は,②運行起因性とは?を取り上げます。

運行起因性とは?

 自賠法3条の運行供用者責任が生じるには,人身事故である交通事故が加害車両の「運行によって」生じたことが必要です。これを運行起因性といいます。

 運行起因性の問題は,「運行」の解釈と「によって」という因果関係の解釈に区別することができます。

「運行」の解釈

 自賠法2条は運行について,「人又は物を運送するしないとにかかわらず,自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいう」と規定しています。「自動車を当該装置の用い方に従い用いること」について解釈に争いがあり,以下のような見解が存在します。

 ①原動機の作用により自動車を移動させることをいう

 ②原動機装置のほか,ハンドル装置,ブレーキ装置等の走行装置も含まれ,自力で走行する必要はないが,これらの装置を操作しながら走行することをいう

 ③走行装置だけでなく,クレーン車におけるクレーン等特殊自動車等に固有の装置をその目的に従って使用することをいう

 ④車の場所的移動や装置の操作に限らず,車庫から出てから車庫に格納されるまでの途中の駐車,停車も含む

 ⑤自動車をその用途目的に従って用いている状態にあることが運行で,路上駐車は自動車を使用している状態にあるので運行に当たる

 ⑥自動車の装置といえるものの用い方に従って用いる場合の物的危険状態を意味する

最高裁昭和52年11月24日判決

 運行について,最高裁は,自動車をエンジンその他の走行装置によって位置の移動を伴う走行状態に置く場合だけでなく,特殊自動車であるクレーン車を走行停止状態におき,操縦者において,固有の装置であるクレーンをその目的に従って操作する場合を含むと判断しています。

 この判決は,複数の学説のうち,③の固有装置説を採用しています。

「によって」の解釈

 因果関係に関しても以下のような複数の見解があります。

 ①運行に際して事故が発生すればよく,運行と生命又は身体の侵害との間に時間的・場所的近接があればいい

 ②運行と交通事故との間に事実的な因果関係があればいい

 ③運行と交通事故との間に相当因果関係があることが必要

 最高裁は,③の運行と交通事故の間に相当因果関係が必要であると判断しています。相当因果関係の判断に際しては,事故現場が公道上か,一般人や一般車両が出入り自由な場所か,被害者の属性などの具体的な事情を考慮して判断されます。

 実務上因果関係が問題になるのは,①違法駐車をしていた車両を回避しようとした車が対向車と衝突する回避事故,②違法駐車していた車両の陰から飛び出した人に通過車両が衝突する事故,③非接触事故などです。