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政府保障事業に関する最高裁判決(交通事故の判例)


政府保障事業に関する最高裁判決を紹介します。

最高裁平成5年4月6日判決

 交通事故で死亡した被害者の内縁の配偶者に対する政府保障事業によって填補される損害の範囲が問題になった事案です。

事案の概要

 上告人らはいずれも本件交通事故によって死亡したA(当時満62歳)の妹であるが、Aには内縁の配偶者Bがおり、同人の生計は専らAの収入によって維持されていたところ、被上告人は、自賠法72条1項に基づき、Bに対して、同人がAの死亡によって喪失した将来の扶養利益に相当する額として既に700万9,631円を支払った。

最高裁の判断

 自賠法72条1項に定める政府の行う自動車損害賠償保障事業は、自動車の運行によって生命又は身体を害された者がある場合において、その自動車の保有者が明らかでないため被害者が同法3条の規定による損害賠償の請求をすることができないときは、政府がその損害をてん補するものであるから、同法72条1項にいう「被害者」とは、保有者に対して損害賠償の請求をすることができる者をいうと解すべきところ、内縁の配偶者が他方の配偶者の扶養を受けている場合において、その他方の配偶者が保有者の自動車の運行によって死亡したときは、内縁の配偶者は、自己が他方の配偶者から受けることができた将来の扶養利益の喪失を損害として、保有者に対してその賠償を請求することができるものというべきであるから、内縁の配偶者は、同項にいう「被害者」に当たると解するのが相当である。

 政府が、同項に基づき、保有者の自動車の運行によって死亡した被害者の相続人の請求により、死亡による損害をてん補すべき場合において、政府が死亡被害者の内縁の配偶者にその扶養利益の喪失に相当する額を支払い、その損害をてん補したときは、てん補額は相続人にてん補すべき死亡被害者の逸失利益の額からこれを控除すべきものと解するのが相当である。

 死亡被害者の内縁の配偶者もまた、自賠法72条1項にいう「被害者」として、政府に対して死亡被害者の死亡による損害のてん補を請求することができるから、配偶者に対してされた前記損害のてん補は正当であり、また、死亡被害者の逸失利益は同人が死亡しなかったとすれば得べかりし利益であるところ、死亡被害者の内縁の配偶者の扶養に要する費用は利益から支出されるものであるから、死亡被害者の内縁の配偶者の将来の扶養利益の喪失に相当する額として既に支払われた前記てん補額は、死亡被害者の逸失利益からこれを控除するのが相当であるからである。


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