交通事故による橈骨遠位端骨折の後遺障害を取上げます。
橈骨遠位端骨折
橈骨の骨皮質が、急激に菲薄化する遠位骨幹端から骨端にかけて生じる骨折です。脊椎圧迫骨折、大腿骨近位部骨折についで発生率の高い骨折です。
AO分類
関節外、関節内を含め原則的に、関節面を有する長管骨すべてに応用可能な分類です。
A:関節外骨折
関節外骨折の分類
A1:尺骨遠位部の関節外単独骨折
A2:関節外陥入骨折、安定型Colles/Smith骨折
A3:背側骨幹端部粉砕骨折
B:部分関節内骨折
関節内骨折で骨片の一部は骨幹部との連続性を残す
部分関節内骨折の分類
B1:橈骨茎状突起、内側楔状部の骨折
B2:背側Barton骨折、橈骨茎状突起骨折
B3:掌側辺縁骨折
C:完全関節内骨折
関節内骨折で関節面が完全に骨幹部との連続性を絶たれたもの
完全関節内骨折の分類
C1:単純関節内骨折で骨幹端部の粉砕がなく、骨片が2つまで
C2:単純関節内骨折に骨幹端部の粉砕骨折を伴う
C3:関節面の多骨片化を伴う
橈骨遠位端骨折の治療
転位が少ない関節内・関節外骨折は徒手整復とギプス固定で治療可能です。保存的療法が行われた場合、4~6週間ほどで骨癒合が得られます。
骨折線が、橈骨手根関節・遠位橈尺関節に及んでいる場合は、観血術が必要です。
橈骨遠位端骨折の後遺障害
手関節の機能障害が残る可能性はありますが、頻度としては、ほとんどありません。
変形障害に該当しない程度の変形治癒を残した場合、骨折部の疼痛が残っていれば、局部の神経症状として12級13号または、14級9号が想定されます。