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橈骨遠位端骨折で手首の痛み・動かしにくさが残ったら何級?-交通事故の後遺障害認定のポイント-


 交通事故で手をついた際などに起こりやすい骨折の一つが、橈骨遠位端骨折です。いわゆる「手首の骨折」と説明されることも多く、骨折自体は治癒しても、手首の痛み、動かしにくさ、しびれなどが残ることがあります。

 橈骨遠位端骨折で後遺障害が問題になる場合、主に検討されるのは、手関節の可動域制限による機能障害と、痛み・しびれなどの神経症状です。症状の内容や画像所見、可動域測定の結果によって、12級や14級、場合によっては手関節の機能障害として10級・12級が問題になることがあります。

 このページでは、交通事故による橈骨遠位端骨折で残りやすい症状、認定される可能性のある後遺障害等級、後遺障害申請で確認しておきたいポイントを解説します。

 橈骨遠位端骨折は、手首に近い橈骨の骨折です。骨折の中では、発生頻度の多い骨折です。交通事故では、転倒して手首を地面についた際に発生します。

AO分類

 関節外、関節内を含め原則的に、関節面を有する長管骨の全てに、応用可能な分類です。

A:関節外骨折

関節外骨折の分類

A1:尺骨遠位部の関節外単独骨折

A2:関節外陥入骨折、安定型Colles/Smith骨折

A3:背側骨幹端部粉砕骨折

B:部分関節内骨折

 関節内骨折で、骨片の一部は骨幹部との連続性を残す

部分関節内骨折の分類

B1:橈骨茎状突起、内側楔状部の骨折

B2:背側Barton骨折、橈骨茎状突起骨折

B3:掌側辺縁骨折

C:完全関節内骨折

 関節内骨折で、関節面が完全に骨幹部との連続性を絶たれたもの

完全関節内骨折の分類

C1:単純関節内骨折で骨幹端部の粉砕がなく、骨片が2つまで

C2:単純関節内骨折に骨幹端部の粉砕骨折を伴う

C3:関節面の多骨片化を伴う

 橈骨遠位端骨折では、以下のような症状が見られます。

橈骨遠位端骨折の主な症状

手首の痛み・しびれ

手首の腫れ

手首の変形

 転位が少ない関節内・関節外骨折は徒手整復とギプス固定で治療可能です。保存的療法が行われた場合、4~6週間ほどで骨癒合が得られます。

 骨折線が、橈骨手根関節・遠位橈尺関節に及んでいる場合は、観血術が必要です。

 交通事故による橈骨遠位端骨折では、以下の後遺障害が想定されます。

橈骨遠位端骨折で想定される後遺障害

①手関節の後遺障害

②手首の神経障害

③長管骨の変形障害

 橈骨遠位端骨折で多く問題になるのは、②手首の神経障害です。

手関節の動きが制限された場合

 橈骨遠位端骨折により、手関節の機能障害が残る可能性はあります。しかし、頻度としては、ほとんどありません。

 機能障害が残る場合は、可動域制限の範囲に応じて、以下の後遺障害等級が問題となります。

手関節の機能障害

手関節の可動域が健側の2分の1以下に制限されている場合→10級10号

手関節の可動域が健側の4分の3以下に制限されている場合→12級6号

にゃソラ

関節の機能障害については、以下の各記事も参照

関節の機能障害(交通事故の後遺障害)

交通事故の後遺障害の内、関節の機能障害の概要を説明します。

関節の機能障害の後遺障害-可動域制限が残った場合の等級と認定のポイント-

交通事故で肩・肘・手首・股関節・膝・足首などの関節が動かしにくくなった場合、可動域制限の程度によって後遺障害等級が問題になります。ただし、角度だけで認定されるわけではなく、骨折・靱帯損傷・神経損傷などの器質的損傷との整合性が重要です。

痛みやしびれが残った場合

 変形障害に該当しない程度の変形治癒を残した場合、骨折部の疼痛が残っていれば、局部の神経症状として、12級13号又は、14級9号が想定されます。

 12級と14級の違いは、画像所見の有無です。画像所見があると認められる場合は12級となります。

変形や骨癒合の状態が問題になる場合

 橈骨遠位端骨折の骨折部がずれたまま癒合したことで明らかな変形が残った場合、長管骨に変形を残すものとして、12級8号が想定されます。

上肢・下肢の変形障害の後遺障害認定のポイント(交通事故の後遺障害認定)

交通事故による上肢・下肢の変形障害の後遺障害認定のポイントを解説します。

骨折部位・骨癒合の状態を画像で確認する

 橈骨遠位端骨折の後遺障害の認定に際しては、画像所見の有無が最も重要です。特に、関節面不整の有無が問題になります。

 画像としては、レントゲンとCTが有用です。MRIは、橈骨遠位端骨折に関しては有用ではありません。ただし、TFCC損傷が疑われる場合は、MRI検査が必須です。

症状固定時の可動域測定を正確に行う

 手関節の可動域制限が残った場合は、可動域角度を正確に測定してもらうことが重要です。

痛み・しびれ・日常生活への支障を具体的に伝える

 手首の痛み・しびれが残った場合は、痛みやしびれが、いつ、どんな時に起きるのかなど正確に医師に伝えることが重要です。

 たとえば、常に痛みがあるにもかかわらず、後遺障害診断書には「動かしたときに痛む」と書かれている場合があります。「動かしたときに痛む」と書かれていると、後遺障害は非該当になりやすいです。被害者としては、「動かしたときに痛みが強くなる」という趣旨だということが医師にきちんと伝わっていないのです。

 橈骨遠位端骨折は、手首に近い橈骨の骨折です。骨折そのものは治癒しても、手首の痛み、動かしにくさ、しびれなどが残ることがあります。

 後遺障害では、手関節の可動域制限が残った場合の機能障害と、痛み・しびれが残った場合の神経症状が主に問題になります。特に、痛みやしびれについては12級13号または14級9号、可動域制限が明らかな場合には手関節の機能障害としての等級が検討されます。

 もっとも、後遺障害に認定されるかどうかは、骨折の状態、画像所見、可動域測定、治療経過、症状の一貫性などによって変わります。「骨はくっついたから問題ない」と言われても、手首の痛みや動かしにくさが残っている場合は、後遺障害申請を検討する余地があります。

 交通事故後の橈骨遠位端骨折で、手首の痛みや使いにくさが残っている場合は、症状固定前後の段階で、後遺障害に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。


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