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消滅時効の起算点に関する最高裁判決(交通事故の損害賠償)


不法行為に基づく損害賠償請求の消滅時効の起算点について判断した最高裁判決を紹介します。

最高裁昭和42年7月18日判決

 交通事故後、相当期間経過した後に、事故当時は医学的に通常予想できなかった治療が必要となり、治療費を支出した事案です。消滅時効の起算点が問題になりました(交通事故の損害賠償請求の消滅時効の起算点も参照)。

最高裁の判断

 最高裁は、受傷時から相当期間経過後に後遺症が現われ、そのため受傷時においては医学的にも通常予想しえなかったような治療方法が必要とされ、その治療のため費用を支出することを余儀なくされた場合、その治療費は、実際に治療を受けるまで消滅時効は進行しないと判断しました。

 被害者が不法行為に基づく損害の発生を知った以上、その損害と牽連一体をなす損害であって当時においてその発生を予見することが可能であつたものについては、すべて被害者においてその認識があったものとして、民法724条所定の時効は前記損害の発生を知ったから進行を始めるものと解すべきではある。

 しかし、本件の場合のように、受傷時から相当期間経過後に後遺症が現われ、そのため受傷時においては医学的にも通常予想しえなかったような治療方法が必要とされ、その治療のため費用を支出することを余儀なくされるにいたった場合は、後日その治療を受けるようになるまでは、その治療に要した費用すなわち損害については、同条所定の時効は進行しないものと解するのが相当である。

 このように解しなければ、被害者としては、たとい不法行為による受傷の事実を知ったとしても、当時においては未だ必要性の判明しない治療のための費用について、これを損害としてその賠償を請求するに由なく、そのために損害賠償請求権の行使が事実上不可能なうちにその消滅時効が開始することとなって、時効の起算点に関する特則である民法724条を設けた趣旨に反する結果を招来するにいたるからである。


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