交通事故で足関節果部骨折と診断され、治療によって骨がついた後も、
- 足首が以前のように曲がらない
- 歩いたり階段を下りたりすると痛む
- 腫れや違和感がなかなか取れない
といった症状が残ることがあります。
足関節果部骨折は、いわゆる「くるぶし」の周辺に生じる骨折です。骨折と同時に靱帯や関節面を損傷することもあるため、骨が癒合しても、足首の可動域制限や痛み、不安定感などが残る場合があります。
足首がほとんど動かない場合や、可動域が大きく制限された場合には、後遺障害8級・10級・12級が認定される可能性があります。また、骨折部の痛みが残った場合には、12級または14級が問題になります。
ただし、骨折したという診断だけで等級が決まるわけではありません。残った症状の内容と程度、足首の可動域、レントゲンやCTなどの画像所見、治療経過を踏まえて判断されます。
このページでは、足関節果部骨折で残りやすい症状、認定される可能性のある後遺障害等級、等級認定を受けるために確認しておきたいポイントを解説します。
- 1. 足関節果部骨折とは?
- 1.1. くるぶし周辺の骨折
- 1.2. 靱帯損傷を伴うことがある
- 1.3. 補足:足関節果部骨折の分類
- 1.3.1. ①外旋骨折
- 1.3.2. ②外旋-外転骨折
- 1.4. 足関節果部骨折の治療
- 2. 足関節果部骨折で残りやすい症状
- 2.1. 足首の可動域制限
- 2.2. 足首や骨折部の痛み
- 2.3. 腫れ・違和感
- 2.4. 足首の不安定感
- 2.5. 外傷後の変形性足関節症
- 3. 足関節果部骨折の後遺障害は何級になる?
- 3.1. 足首の動きが悪くなった場合
- 3.2. 足首、骨折部の痛み
- 4. 足関節果部骨折で後遺障害認定を受けるためのポイント
- 4.1. ①骨折部位・形状の確認
- 4.2. ②靭帯の損傷はあるか?
- 4.3. ③腓骨神経麻痺はないか?
- 4.4. ④足首にどの程度の可動域制限があるか?
- 4.5. ⑤足首の可動域制限の原因は?
- 4.6. ⑥痛みや腫れを継続して医師に伝える
- 5. 足関節果部骨折で痛みや動かしにくさが残ったら
足関節果部骨折とは?
足関節は、脛骨・腓骨・距骨から構成される関節です。それぞれの骨は、靭帯・関節包の軟部組織で結合していて、足部の底背屈の動きに対しての自由度が比較的大きいのが特徴です。しかし、内がえし・外がえし運動や内転・外転運動に関しての自由度は少なく、無理な力が加わることで、骨折を引き起こします。

くるぶし周辺の骨折
足関節果部骨折とは、足首を構成する脛骨・腓骨の下端部分に生じる骨折です。
骨折する部位によって、内くるぶしに当たる「内果骨折」、外くるぶしに当たる「外果骨折」、脛骨の後方に生じる「後果骨折」などに分けられます。複数の果部を同時に骨折することもあります。
靱帯損傷を伴うことがある
足関節果部骨折は、骨折のみでなく、様々な程度の靭帯損傷を合併するのが特徴の一つです。そのため、骨が癒合しても、足首の動かしにくさや不安定感、歩行時の痛みなどが残る場合があります。
補足:足関節果部骨折の分類
Lauge-Hansen分類等を見直し、近年発表されたのが原口の分類です。
①外旋骨折
外旋骨折の分類
Stage1:前脛腓靭帯の断裂
Stage2:Stage1+外果螺旋骨折
Stage3:Stage2+後果骨折
Stage4:Stage3+内果骨折
②外旋-外転骨折
外転骨折の分類
Stage1:内果骨折
Stage2:Stage1+前脛腓靭帯の断裂
Stage3:Stage2+腓骨骨折
Stage4:Stage3+後果骨折
足関節果部骨折の治療
転位のないものや非観血的整復が可能なものは、保存的療法を行います。ギプス固定が基本です。膝下から足部までを固定します。固定期間は、4~6週間程度と言われています。
骨折が不安定な場合や正しい解剖学的整復位が得られない場合は、観血的療法が選択されます。内固定材は、スクリュー、プレート、キルシュナー鋼線、軟鋼線を組み合わせて行います。
足関節果部骨折で残りやすい症状
足首の可動域制限
足関節果部骨折後には、足首を上に反らす背屈や、下に伸ばす底屈の動きが制限されることがあります。足首の動きが悪くなると、歩行だけでなく、階段の昇降、しゃがむ動作、坂道を歩く動作などにも支障が生じます。
足首や骨折部の痛み
足関節部に激痛が生じ、歩行困難となることがあります。
腫れ・違和感
長時間歩いた後や立ち仕事の後に、足首が腫れる、重く感じる、熱を持つといった症状が残ることがあります。
足首の不安定感
足関節果部骨折骨折だけでなく靱帯を損傷した場合などには、足首がぐらつく、踏ん張れない、転びそうになるといった不安定感が残ることがあります。
外傷後の変形性足関節症
骨折によって足関節の関節面にずれや不整が残ると、時間の経過とともに軟骨が傷み、変形性足関節症へ進行することがあります。
足関節果部骨折の後遺障害は何級になる?
| 残った障害 | 想定される後遺障害等級 |
| 足関節が強直し、ほとんど動かない | 8級7号 |
| 足関節の可動域が健側の2分の1以下 | 10級11号 |
| 足関節の可動域が健側の4分の3以下 | 12級7号 |
| 痛みの原因を医学的・客観的に証明できる | 12級13号 |
| 痛みの残存を医学的に説明できる | 14級9号 |
足首の動きが悪くなった場合
足関節果部骨折によって足首の動きが制限された場合、下肢の三大関節の機能障害として等級が問題になります。
足首の可動域制限の後遺障害等級
足首がほぼ動かない→関節の用廃:8級7号
健側の2分の1以下に制限→関節の機能に著しい障害:10級11号
健側の4分の3以下に制限→関節の機能に障害:12級7号
足首、骨折部の痛み
足首、骨折部の後遺障害
他覚的所見がある場合:12級13号が想定されます。
他覚的所見がない場合:14級9号が想定されます。
可動域制限が機能障害の基準を満たさない場合でも、足首や骨折部に痛みが残っている場合には、神経症状として後遺障害が認定される可能性があります。
レントゲンやCTなどの画像、神経学的検査その他の他覚的所見から、痛みの原因を医学的に証明できる場合には、12級13号が問題になります。
十分な他覚的所見がなくても、事故の状況、受傷内容、治療経過、症状の一貫性などから、痛みの残存を医学的に説明できる場合には、14級9号が認定される可能性があります。
足関節果部骨折で後遺障害認定を受けるためのポイント
足首に可動域制限があっても、その制限が足関節果部骨折によって生じたことを証明できなければ、後遺障害として認定されません。
また、足関節果部骨折の手術でプレートやスクリューを使用し、それが体内に残っていることだけで、後遺障害が認定されるわけではありません。
①骨折部位・形状の確認
まずは、どこを骨折したのか?骨折の形状を確認することが重要です。
②靭帯の損傷はあるか?
足関節果部骨折によって、周辺の靱帯が損傷することがあります。可動域制限の原因が靭帯損傷の場合があります。そのため、靭帯損傷の有無を確認することが必要です。靱帯損傷の有無を判定するのは、MRI検査が必要です。
③腓骨神経麻痺はないか?
場合によっては、腓骨神経が損傷していないか?を確認する必要があるケースもあります。
④足首にどの程度の可動域制限があるか?
足関節の機能障害は、原則として、骨折していない側の足関節との可動域の差によって判断されます。正確に可動域角度を測定してもらう必要があります。
⑤足首の可動域制限の原因は?
足首に可動域制限があっても、それだけで後遺障害が認定されるわけではありません。足首の可動域制限の原因を特定する必要があります。
足関節果部骨折の変形癒合が原因なのか?靱帯損傷が原因なのか?腓骨神経麻痺が原因なのか?を証明する必要があります。
⑥痛みや腫れを継続して医師に伝える
足首の可動域制限ではなく、足首や骨折部の痛みで後遺障害認定を狙うためには、治療経過が重要になります。
症状の部位、程度、出現する動作、日常生活や仕事への影響を、診察のたびに具体的に医師へ伝えておくことが大切です。
足関節果部骨折で痛みや動かしにくさが残ったら
足関節果部骨折は、骨が癒合した後も、足首の可動域制限、痛み、腫れ、不安定感などが残ることがあります。
足関節がほとんど動かない場合には8級7号、可動域が大きく制限された場合には10級11号または12級7号が認定される可能性があります。また、足首や骨折部に痛みが残った場合には、12級13号または14級9号が問題になります。
ただし、後遺障害等級は、足関節果部骨折という診断名だけで決まるわけではありません。可動域制限の程度、画像所見、痛みの経過、後遺障害診断書の記載などを踏まえて判断されます。
- 骨はついたと言われたのに、足首が以前のように動かない
- 足首の痛みが残ったまま
- この症状で後遺障害が認定されるのか分からない
という場合は、保険会社と示談をする前に、後遺障害が認定されるか?を検討することが大切です。
法律事務所エソラでは、交通事故による足関節果部骨折の後遺障害申請や損害賠償についてご相談をお受けしています。足首の症状が残っている方は、お気軽にご相談ください。

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