交通事故による肩関節脱臼の後遺障害を取上げます。
肩関節脱臼
肩関節脱臼は、前方脱臼・後方脱臼・下方(直立)脱臼に分類されます。肩関節は、四肢関節のなかで、最も脱臼の頻度が高い関節です。その中でも、上腕骨の前方脱臼がほとんど(85%以上)を占めています。
前方脱臼
上肢が外転・外旋・伸展位を強いられたときに生じることが多いです。烏口下に脱臼します。
後方脱臼
内転・内旋位の強制によって生じることが多いです。肩峰下に脱臼します。肩関節脱臼の中では2%ほどと言われ、ほとんど発生しません。
下方脱臼
過外外転力が加わり、肩峰がてこの支点となり、骨頭が下方に脱臼します。下方脱臼もほとんど発生することはありません。
肩関節脱臼の治療
肩関節の前方脱臼は外見上、視診・触診で明瞭です。整復前に腋窩神経麻痺の有無、腕神経叢損傷の有無のチェックが行われます。2方向からX線撮影が行われるのが一般的です。
整復前の検査で肩関節脱臼が見つかれば、徒手整復操作が行われます。整復完了後、2週間程度は、外固定が行われます。外固定除去後にリハビリが行われます。リハビリ期間は1か月程度が想定されます。
反復性関節脱臼
肩関節脱臼は、初回の外傷性脱臼後に繰り返すことがあります。これを反復性脱臼といいます。習慣性脱臼という呼び方もありますが、非外傷性のものを習慣性脱臼といいます。特に、若年期に初回脱臼を生じると反復性に移行しやすいと言われています。
肩関節脱臼の後遺障害
自然回復が見られ、肩関節の可動域が制限されることはほぼありません。
反復性脱臼になった場合、後遺障害等級表に記載はありませんが、機能障害として、後遺障害12級が準用されています。