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肩関節脱臼で残りやすい後遺障害は?可動域制限・反復性脱臼は後遺障害何級になる?


 交通事故で肩関節を脱臼し、整復や治療を受けたものの、

  • 以前のように腕が上がらない
  • 肩を動かすと痛みがある
  • また肩が外れそうで怖い
  • 実際に何度も脱臼するようになった

といった症状が残ることがあります。

 肩関節脱臼では、治療後も肩関節の可動域制限や痛み、反復性脱臼(繰り返す脱臼)が残ることがあります。

 このような症状が残った場合、症状の内容や程度によっては、交通事故の後遺障害として認定される可能性があります。

 特にポイントになるのが、肩関節がどの程度動くのかという「可動域」と、脱臼を繰り返す状態になっていないかです。

 この記事では、交通事故による肩関節脱臼で残りやすい後遺症と、後遺障害では何級に該当する可能性があるのかを解説します。

 肩関節脱臼は、上腕骨と肩甲骨からなる肩関節がはずれて、骨の位置が関節からずれてしまった状態のことです。

 交通事故では、転倒した際に、腕に地面をついて肩関節をかばうような無理な体勢になると発生しやすいです。

 肩関節脱臼は、前方脱臼・後方脱臼・下方(直立)脱臼に分類されます。肩関節は、四肢関節のなかで、最も脱臼の頻度が高い関節です。その中でも、上腕骨の前方脱臼が、ほとんど(85%以上)を占めています。

前方脱臼

 上肢が外転・外旋・伸展位を強いられたときに生じることが多いです。烏口下に脱臼します。

後方脱臼

 内転・内旋位の強制によって生じることが多いです。肩峰下に脱臼します。肩関節脱臼の中では2%ほどと言われ、ほとんど発生しません。

下方脱臼

 過外外転力が加わり、肩峰がてこの支点となり、骨頭が下方に脱臼します。下方脱臼もほとんど発生することはありません。

肩関節脱臼の治療

 肩関節の前方脱臼は外見上、視診・触診で明瞭です。整復前に腋窩神経麻痺の有無、腕神経叢損傷の有無のチェックが行われます。2方向からX線撮影が行われるのが一般的です。

 整復前の検査で肩関節脱臼が見つかれば、徒手整復操作が行われます。整復完了後、2週間程度は、外固定が行われます。外固定除去後にリハビリが行われます。リハビリ期間は、1か月程度が想定されます。

 肩関節脱臼の主な症状に、以下のようなものがあります。

①肩の痛み

 脱臼した際に、激しい痛みを伴います。

②肩が上がらない・動かしにくい

 腕が固定されたようになり、動かすことができなくなります。

③肩や腕のしびれ

 神経の圧迫や損傷により、しびれ・感覚が鈍くなったように感じることがあります。

残った症状想定される後遺障害等級
反復性脱臼準用12級
人工骨頭置換術+
肩関節の可動域が健側の2分の1以下
8級6号
肩関節の可動域が健側の2分の1以下10級10号
肩関節の可動域が健側の4分の3以下12級6号
医学的に証明できる肩の痛み12級13号
医学的に説明できる肩の痛み14級9号

 反復性脱臼になった場合、後遺障害等級表に記載はありませんが、機能障害として、後遺障害12級が準用されています。

反復性関節脱臼とは?

 肩関節脱臼は、初回の外傷性脱臼後に繰り返すことがあります。これを反復性脱臼といいます。習慣性脱臼という呼び方もありますが、非外傷性のものを習慣性脱臼といいます。特に、若年期に初回脱臼を生じると反復性に移行しやすいと言われています。

交通事故との因果関係が問題になる場合がある

 反復性関節脱臼は、後遺障害等級12級に認定される可能性があります。しかしながら、交通事故との因果関係が問題となるケースが多く見られます。

8級6号

 ケガが肩関節脱臼骨折の場合、後遺障害等級8級6号の可能性があります。人口骨頭置換術を行い、可動域が健側の2分の1以下に制限されている場合は、8級6号となります。

10級10号

 肩関節脱臼骨折により可動域が健側の2分の1以下に制限されている場合は、後遺障害等級10級10号の可能性があります。また、可動域は2分の1以下に制限されていなくても、人工骨頭置換術が施行された場合は後遺障害等級0級10号となります。

12級6号

 骨折を伴わない肩関節脱臼の場合でも、可動域制限が生じることがあります。可動域が健側の4分の3以下に制限されている場合は、後遺障害等級12級6号の可能性があります。

 肩関節脱臼は、肩の痛みが残る場合があります。

 上腕骨頭の骨折で関節面の不整を残して骨癒合したことが画像所見により確認できる場合は、後遺障害等級12級13号の可能性があります。

 画像所見がない場合でも、治療経過、症状の推移などから後遺障害等級14級9号の可能性があります。

骨折を伴わない肩関節脱臼は後遺障害が認定されにくい

 骨折を伴わない肩関節脱臼は、可動域の制限が残ることは少ないです。反復性関節脱臼に移行する可能性は高いです。

 反復性関節脱臼は、後遺障害等級12級が認定される可能性があります。しかし、交通事故との因果関係が認められず、後遺障害が認定されないケースが多いです。

骨折を伴う関節脱臼は可動域制限が基本

 肩関節脱臼骨折の場合は、可動域の制限が残ることが多いです。後遺障害も可動域制限が基本となります。

 可動域制限で後遺障害が認定されるには、可動域角度のみではなく、可動域制限の原因となる骨折などの器質的損傷が画像所見で確認できることが必要です。

事故直後から症状を継続して伝える

 肩関節脱臼による痛みの症状がある場合は、どこが痛むか?どんなときに痛むか?日常生活や仕事で何に困っているか?を事故直後から継続して主治医に伝えておくことが重要です。

 交通事故による肩関節脱臼では、整復によって肩関節が元の位置に戻っても、すべての症状がなくなるとは限りません。

 肩が上がらないなどの可動域制限が残った場合には、その程度に応じて8級6号・10級10号・12級6号が問題になります。

 また、一度治ったように見えても、その後に脱臼を繰り返す反復性脱臼となった場合には、12級相当の後遺障害が問題になることがあります。

 肩の痛みや動かしにくさが残っている場合は、「そのうち治るだろう」と考えるだけではなく、症状固定前から可動域や画像所見、再脱臼の経過などを確認しておくことが重要です。

 交通事故による肩関節脱臼の治療後も症状が残っている場合は、後遺障害申請をする前に、必要な検査や後遺障害診断書の記載内容を確認しておくことをおすすめします。

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