交通事故による上腕骨骨幹部の後遺障害を取上げます。
上腕骨骨幹部骨折
直達外力によって、横骨折・粉砕骨折・介達骨折が生じる他、投球動作などの際の捻転力で螺旋骨折が生じる場合があります。
横骨折は癒合が悪く、螺旋骨折・斜骨折は骨折面が広く癒合が良いのが特徴です。症状としては、上腕痛と外側凸の変形の症状が現れます。
上腕骨骨幹部の治療
保存的療法で治療のできる骨折です。斜骨折や螺旋骨折のように接触面の広いものは保存的療法が適しています。固定法として、U字型副子・機能的装具が用いられます。ハンギングキャストは負担が大きく、あまり好まれません。
横骨折や短い斜骨折で不安定な場合や二重骨折の場合は、手術適応になります。
上腕骨骨幹部の後遺障害
上腕骨骨幹部の後遺障害としては、偽関節と変形障害が考えられます。
偽関節を含む変形障害については、以下の記事参照
偽関節
上腕骨骨幹部骨折で想定される偽関節の後遺障害
①上腕骨の骨幹部に癒合不全を残し、常に硬性補装具の装着を必要とするもの:7級9号が想定されます。
②常に硬性補装具の装着を必要としないもの:8級8号が想定されます。
変形障害
以下の場合、12級8号が想定されます。
上腕骨骨幹部骨折の後遺障害で、変形障害12級8号が想定される場合
①上腕骨に15度以上の変形を残すもの
②上腕骨の骨幹部に癒合不全を残すもの
③上腕骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
④上腕骨の直径が3分の2以下に減少したもの
⑤上腕骨が50度以上外旋又は内旋変形癒合しているもの