交通事故による舟状骨骨折の後遺障害を取上げます。
舟状骨骨折
手をついて転倒し、受傷することが多く、手根骨骨折の中で頻度の高い骨折です。
受傷時の単純X線で診断できないことも多く、2~3週間後の再検査で判明することもある骨折です。
解剖学的嗅ぎタバコ窩の圧痛があることが、重要な所見です。この所見が見られる場合は、骨折として扱い、舟状骨5方向のX線撮影が必要です。
Herbert分類
TypeA~TypeDに分類します。
TypeA:安定型新鮮骨折
Type Aの分類
A1:結節部骨折
A2:腰部不完全骨折
TypeB:不安定型新鮮骨折
Type Bの分類
B1:遠位部斜骨折
B2:腰部完全骨折
B3:近位部骨折
B4:脱臼骨折
B5:粉砕骨折
TypeC:遷延治癒
TypeD:偽関節
Type Dの分類
D1:繊維性癒合
D2:骨硬化性偽関節
舟状骨骨折の治療
TypeAは、保存的療法を行います。A1は手術適応がなく、ギプス固定による保存的療法を行います。A2も原則的には、保存的療法を行います。
TypeB・C・Dの骨折は、手術療法を選択することになります。
舟状骨骨折の後遺障害
手関節や手指の機能障害が生じることは、まずないと言われています。癒合不全になった場合に手関節に残る疼痛が後遺障害に認定される可能性があります。
骨折後の疼痛について、画像上、明らかな癒合不全が認められれば、12級13号が想定されます。画像所見がない場合には、14級9号が認定される可能性があります。