後遺障害等級認定のルール

 後遺障害等級認定のルールでは,併合・みなし系列・序列について触れました。後遺障害等級認定のルールは,これらだけではありません。その他のルールについて,今回は解説します。

組み合わせ等級

 系列が異なる2つ以上の後遺障害がある場合,障害等級表上,組合せにより等級が定められているものがあります。

 たとえば,上肢の機能障害として,1級4号「両上肢の用を全廃したもの」があります。上肢は左右それぞれが別の系列なので,本来は,同一に評価されません。このように,例外的に同一に評価されることがあります。

相当等級

 後遺障害等級認定表には,記載がない障害について,明らかに後遺障害として評価しなければおかしいものがあります。認定基準にもその点について言及しています。

 嗅覚脱失と味覚脱失は,準用12級として扱われます。嗅覚や味覚については,等級認定表上,どの障害の系列に属さないのですが,後遺障害として認めることとされています。同様に,嗅覚減退は,準用14級として扱われます。

 これを相当等級と呼びます。認定基準が相当等級について言及していることから,認定基準に記載がないものは,自賠責保険においては,後遺障害として認められることはないと考えれます。

加重障害

 交通事故よりも前に身体に障害があった人が,交通事故で同じ部位に障害を負った場合は,事故前の障害の程度と事故後の障害の程度の差を取ることになっています。これを加重障害といいます。

 既存障害が11級,新しい障害が8級と認定されると,加重障害8級ということになります。自賠責保険からの支払いは,8級の819万円から11級の331万円を控除した488万円が支払われます。

 事故前の障害は,交通事故に限りません。また,先天的か後天的かも問いません。交通事故の被害に遭い,頚部のむち打ちで14級の後遺障害が認定されると,再び,交通事故で頚部のむち打ちになったとしても,14級を超える12級の後遺障害だと評価されなければ,後遺障害の認定はされません。

 加重障害の場合,逸失利益と慰謝料をどのように算定するのかという問題があります。

別表第1と第2

 後遺障害等級認定表は,介護が必要かどうかという観点から別表第1と第2に分かれています。別表第1は,介護が必要な後遺障害で1級と2級があります。別表第2は,介護の必要のない後遺障害で1級から14級まであります。

 別表第1の後遺障害があると,他に別表第2の後遺障害があっても,別表第1の後遺障害の等級でしか認定しません。高次脳機能障害で別表第1の2級,外貌の醜状で別表第2の12級の後遺障害が認められた場合,重い方の別表第1の2級を繰り上げて併合1級とはしないということです。

 自賠責保険においては,別表第1の2級の方が,別表第1の1級よりも支払われる保険金の金額が多くなるので,このように扱われています。

 ただし,裁判基準での後遺障害による慰謝料は,1級の方が当然,高くなります。慰謝料の算定では,等級を繰り上げて算定するというのが裁判実務です。