交通事故で脛骨プラトー骨折(脛骨高原骨折)を負うと、骨折そのものが治癒した後も、膝の痛み、曲げ伸ばしの制限、階段の昇り降りのつらさ、膝のぐらつきなどが残ることがあります。
脛骨プラトーは、太ももの大腿骨を支える膝関節の土台となる部分です。そのため、関節面の陥没や不整、半月板・靱帯の損傷を伴うと、膝の動きや安定性に影響が残ることがあります。
このような症状が残った場合、症状の内容や程度によって、膝関節の機能障害として8級7号・10級11号・12級7号、膝の痛みなどの神経症状として12級13号・14級9号が認定される可能性があります。
この記事では、交通事故による脛骨プラトー骨折で残りやすい症状、想定される後遺障害等級、認定を受けるために確認しておきたいポイントを解説します。
- 1. 脛骨プラトー(高原)骨折とは?
- 1.1. 交通事故では膝に強い外力が加わって骨折する
- 1.2. 半月板や靱帯の損傷を伴うことがある
- 1.3. Schatzker分類
- 1.4. 脛骨プラトー骨折の治療
- 2. 脛骨プラトー骨折で残りやすい症状
- 2.1. 膝の曲げ伸ばしの制限
- 2.2. 膝の痛みや腫れ
- 2.3. 膝のぐらつきや不安定感
- 2.4. 変形性膝関節症
- 3. 脛骨プラトー骨折の後遺障害
- 3.1. 膝関節の動きが悪くなった場合
- 3.2. 痛み・しびれが残った場合
- 3.3. 変形や骨癒合の状態が問題になる場合
- 4. 脛骨プラトー骨折の後遺障害認定のポイント
- 4.1. レントゲン・CTで関節面と骨癒合の状態を確認する
- 4.2. MRIで半月板・靱帯・軟骨の損傷を確認する
- 4.3. 膝関節の可動域を正確に測定する
- 4.4. 痛みやしびれの一貫性
- 4.5. 後遺障害診断書の記載内容
- 5. 脛骨プラトー骨折は、膝の痛みや動かしにくさが後遺障害になることがあります
脛骨プラトー(高原)骨折とは?
脛骨プラトー骨折は、膝関節に外反・ねじれ・垂直力が加わり生じる骨折です。
脛骨上端の平らな関節面を高地に広がった平原に見立てて、脛骨高原骨折と呼ぶこともあります。脛骨プラトー骨折と脛骨高原骨折は、同じ骨折のことです。
脛骨プラトー骨折の好発部位は、脛骨外側顆です。

交通事故では膝に強い外力が加わって骨折する
交通事故に関しては、バイク運転中の事故や歩行者・自転車と自動車の事故など、膝関節に強い外力が加わることで発生します。自動車のバンパーの高さが、歩行者の膝の高さに近いため、膝関節に外反力が加わりやすいといえます。
半月板や靱帯の損傷を伴うことがある
脛骨プラトー骨折は、膝関節内部の骨折です。そのため、半月板や靭帯損傷など軟部組織の損傷を伴うことが多いのも特徴です。

半月板損傷については、以下の記事参照
交通事故による半月板損傷-膝の痛みが残ったら後遺障害は何級?-
交通事故で半月板を損傷すると、治療後も膝の痛み、違和感、歩行時の不安定感などが残ることがあります。半月板損傷で想定される後遺障害等級、12級13号・14級9号の違い、認定で問題になりやすいポイントを解説します。
Schatzker分類
骨折型や受傷機転、軟部組織損傷の把握が容易なため、この分類が使われています。Ⅱ型が最も発生頻度が高いとされています。高エネルギー外傷では、Ⅳ~Ⅵ型となることが多いです。
| 分類 | 特徴 |
| Ⅰ型 | 外側関節面の割裂 |
| Ⅱ型 | 外側関節面の割裂と陥没 |
| Ⅲ型 | 外側関節面の陥没 |
| Ⅳ型 | 内側関節面の骨折 |
| Ⅴ型 | 内側・外側の両方に及ぶ骨折 |
| Ⅵ型 | 関節面の骨折と脛骨骨幹端部の分離を伴う骨折 |
脛骨プラトー骨折の治療
あまり転位がない場合は、保存療法が行われます。大腿骨から足部までギプスで、4~8週間ほど固定します。ギプス除去後に、可動域訓練→タッチゲイト→1/2荷重と移行します。約3か月後に、全荷重が可能となります。
転位がひどい場合には、観血的療法が選択されます。観血術が行われた場合、手術後にギプス固定を2週間程度、手術後4週間程度でタッチゲイト、6週間後に1/3荷重、8週間~12週間後に1/2荷重、半年後に全荷重と進んでいきます。半年から1年で症状固定となります。
脛骨プラトー骨折で残りやすい症状
脛骨プラトー骨折では、以下のような症状が見られます。
膝の曲げ伸ばしの制限
脛骨プラトー骨折による関節のダメージ、手術後の癒着により、膝を曲げたり・伸ばしたりする動きに制限が見られることがあります。
膝の痛みや腫れ
脛骨プラトー骨折部分やその周辺の関節に、慢性的な痛みが残ることがあります。長時間歩いたりした場合に、痛みがひどくなることがあります。
膝のぐらつきや不安定感
脛骨プラトー骨折後、がズレた状態で骨癒合すると、歩行中に膝が抜けるような感覚や膝がグラつく感覚が残ることがあります。
半月板や靱帯損傷を伴った場合にも同様の症状が見られます。
変形性膝関節症
関節面の陥没や段差、軟骨・半月板の損傷が残ると、変形性膝関節症へ進行する可能性があります。変形性関節症に進行すると、痛みや膝の動きの制限がさらに悪化します。
脛骨プラトー骨折の後遺障害
| 残った症状 | 想定される後遺障害等級 |
| 膝関節の用廃 | 8級7号 |
| 膝の可動域が健側の2分の1以下 | 10級11号 |
| 膝の可動域が健側の4分の3以下 | 12級7号 |
| 客観的所見で説明できる強い痛み | 12級13号 |
| 痛みが医学的に説明できる | 14級9号 |
| 脛骨の著しい変形や骨端部のゆ合不全 | 12級8号 |
膝関節の動きが悪くなった場合
脛骨プラトー骨折によって膝関節の動きが制限された場合、下肢の三大関節の機能障害として等級が問題になります。
股関節の可動域制限の後遺障害等級
股関節がほぼ動かない→関節の用廃:8級7号
健側の2分の1以下に制限→関節の機能に著しい障害:10級11号
健側の4分の3以下に制限→関節の機能に障害:12級7号
痛み・しびれが残った場合
膝関節に痛み・しびれが残っている場合は、神経症状として12級13号または14級9号が問題になります。
12級と14級の違いは、他覚所見の有無です。画像所見など他覚所見がある場合は12級、他覚所見がない場合は14級が問題になります。
変形や骨癒合の状態が問題になる場合
脛骨プラトー骨折の骨折部がずれたまま癒合したことで明らかな変形が残った場合、長管骨に変形を残すものとして、12級8号が想定されます。
長管骨に変形を残すとは、以下のような場合です。
脛骨プラトー骨折の後遺障害認定のポイント
レントゲン・CTで関節面と骨癒合の状態を確認する
レントゲン、CT画像で関節面・骨癒合の状態を確認することが重要です。CT画像検査は、脛骨関節面の陥没程度を正確に把握するために必須の検査です。
- 関節面に陥没や段差が残っていないか?
- 骨折部が正しい位置で癒合しているか?
- 変形癒合やゆ合不全がないか?
脛骨プラトー骨折の変形障害の有無は、CT画像によって判明します。
MRIで半月板・靱帯・軟骨の損傷を確認する
脛骨プラトー骨折の診断は、レントゲン・CT検査で足ります。半月板や靭帯の損傷がある場合は、MRI画像でなければ、その存在がわかりません。
膝関節の可動域を正確に測定する
膝関節の可動域制限が残った場合は、可動域角度を正確に測定することが必要です。医療機関によっては、目測で可動域角度を測定することもあるようです。後遺障害の認定に際しては、角度計を用いて正確に測定されていることが重要です。
痛みやしびれの一貫性
交通事故直後から症状固定までの間、継続的に通院し、カルテに症状が記載されていることが重要です。特に、神経症状による後遺障害の認定は、症状の一貫性が重視されます。
後遺障害診断書の記載内容
後遺障害の認定に際して、後遺障害診断書は重要です。後遺障害診断書に記載のない症状は、後遺障害として考慮されません。自覚症状がきちんと後遺障害診断書に記載されているか?を確認する必要があります。
股関節の可動域角度について、きちんと測定した結果が記載されているか?も確認する必要があります。
脛骨プラトー骨折は、膝の痛みや動かしにくさが後遺障害になることがあります
交通事故による脛骨プラトー骨折は、膝関節の土台となる脛骨上端の関節内骨折です。骨折が癒合した後も、膝の痛み、曲げ伸ばしの制限、歩行や階段の昇り降りのつらさ、膝のぐらつきなどが残ることがあります。
膝関節が強直するなど、その用を廃したと評価される場合は8級7号、可動域が健側の2分の1以下に制限された場合は10級11号、4分の3以下に制限された場合は12級7号が問題になります。また、膝の痛みが残った場合は、画像所見や治療経過などに応じて12級13号または14級9号が認定される可能性があります。
後遺障害認定では、レントゲンやCTによる関節面・骨癒合の確認、MRIによる半月板・靱帯損傷の確認、膝関節の可動域測定、症状の一貫性、後遺障害診断書の記載内容が重要です。
脛骨プラトー骨折後に膝の痛みや動かしにくさが残っている場合は、症状固定や示談をする前に、必要な検査や診断書の記載がそろっているか確認することが大切です。

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